【静岡県の2023年を振り返る】袴田巌さんの再審開始、静岡と浜松の市長交代、川勝平太知事のボーナス返上、ジュビロ磐田のJ1復帰…。今年もいろいろありました。

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県の2023年を振り返る」です。先生役は静岡新聞ニュースセンター専任部長の市川雄一です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2023年12月18日放送)

(山田)今日は市川さんが今年最後の出演になるので、特別に今年1年間の静岡ニュースを一緒に振り返っていきたいと思います。

僕の手元には市川さんが作ってくれた資料があって、今年1年間の静岡ニュースのトピックスがずらりと並んでいます。静岡新聞は毎年年末に静岡のニュースを振り返って取り上げていますよね。

大晦日の静岡新聞朝刊で今年の十大ニュース発表!

(市川)はい。よく十大ニュースという言葉を聞くと思います。これは静岡新聞だけではなく、全国のニュースメディアも同じですが、1年間にあった主なニュースを10個選んで発表しています。静岡新聞でも今年は12月31日付、大晦日の朝刊で発表させていただきます。

(山田)皆さん楽しみにしておいてねということですね。さて、ポイントになったニュースを順番に紹介してもらえますか。

(市川)2023年もいろいろな出来事がありましたが、ものすごく大きかったのは3月にあった「東京高裁が袴田巌さんの再審開始を認める」というニュースですね。10月には実際に再審が始まりました。

(山田)やはりこれは大きいですよね。

(市川)再審の壁は厚くてずっと開かれなかったという経緯がありましたから。静岡新聞では当時、「袴田さん無罪の公算」という大きな見出しを付けています。死刑が確定した人の再審はこれまでいくつか例があるんですが、必ず無罪になっているので、そのような見通しを報じさせていただきました。

(山田)僕も4月までは毎週浜松に行っていたんですが、散歩をしている袴田さんに道行く人が「頑張ってください」と声を掛けている姿をよく見かけました。

そして、個人的には上位に入ってくるのですが、4月には政令指定都市の市長選挙がありました。

(市川)これも大きいですね。静岡県内にある静岡市と浜松市の政令市で市長選があり、2都市とも首長が交代しましたね。

(山田)そこですよね。市長が変わったという点。

(市川)静岡市は12年ぶり、浜松市は16年ぶりに市長が変わりました。

(山田)浜松市は鈴木康友さんから中野祐介さんに、静岡市は田辺信宏さんから難波喬司さんになりましたね。

(市川)この政令市長選は静岡県政にとっては大きな分岐点になったと思います。

(山田)ですよね。静岡市も難波節のような部分が少しずつ出てき始めた感じがします。

(市川)4月からまだ1年も経っていないですが、静岡市の行政は大きく変わったなという印象があります。

「51議席」が焦点になった静岡県議選

(山田)そして県議選もありましたね。

(市川)政令市長選挙と同じ日でしたね。川勝平太知事の対抗勢力が51議席、つまり不信任決議案を可決できるラインに1人届かなかった点が注目されました。それが後々、不信任決議案の提出の攻防戦などに続いていきました。まさに県議選がターニングポイントでした。

(山田)そうですね。

(市川)この「3時のドリル」でも話をさせていただきましたが、ある選挙区の結果が変わっていたら、知事がクビになっていたかも知れないという状況でした。その意味で、この選挙は大きかったですね。

(山田)5月、6月はいかがでしょうか。

(市川)5月に大きな話題になったのは、浜松まつりに俳優の松本潤さんが訪れたことですね。武者行列を見ようと多くの人が沿道を埋め尽くしました。

(山田)その前に俳優の木村拓哉さんが岐阜の武者行列に登場してすごいことになったから、松本さんが来る浜松も大変なことになるんじゃないかと盛り上がりましたよね。

(市川)新聞には「松本潤さんの武者行列に68万人」という見出しが出ています。68万人といえば静岡市の人口ぐらいですからすごい数ですよね。

(山田)そして7月ぐらいになってくるとどうでしょうか。

(市川)7月は静岡市清水区にある国道1号バイパスの立体工事中に橋げたが倒れ、2人の作業員が亡くなったという事故がありました。

(山田)これも全国ニュースになりましたね。

(市川)ほかには、先ほど話した川勝知事の不信任決議案が提出され、1票足りずに否決されたというニュースもありました。さらに、島田市出身の永井紗耶子さんが直木賞を受賞しました。本県関係では41年ぶりのことでした。

(山田)番組でも取り上げましたね。

(市川)浜松開誠館が甲子園に初出場を決め、浜松勢としては21年ぶりの甲子園という話題がありました。藤枝順心高校の女子サッカー部も冬夏連続で全国優勝を果たしました。明るいニュースや痛ましい事故などいろいろな出来事があった7月でした。

8月で個人的に最も印象残っているのが、静岡市の繁華街で開かれていた静岡夜店市に車が突っ込んだという事件ですね。

(山田)ありましたね。さて9月に行くと…。

静岡にプロ野球の2軍球団が誕生!

(市川)「ハヤテ223(フジサン)」のプロ野球参入内定ですかね。

(山田)急に飛び込んできたニュースでびっくりしました。市川さんにも少し番組で解説していただきました。

(市川)プロ野球の2軍に参入というこれまで前例がない取り組みだったので、「プロ野球の球団が静岡に来るの?」「でも2軍だけで1軍がない球団ってどういうこと?」などと、皆さんも期待とはてなマークが混在したようなニュースだったと思います。現在は、入団する選手が決まったりして少しずつ動き出していますよね。

(山田)もう楽しみの方に変わってきてますね。そしてだんだんと記憶に新しい時期になってきますが。

(市川)10月には浜松市の北部にある水窪町で民家を十数軒焼く大きな火事がありました。あとは、リニア中央新幹線が開業すると静岡県内に停車する新幹線の本数が1.5倍になると国土交通省が発表したり。手術をしなくても性別変更を認めるという静岡家庭裁判所浜松支部の判断もありました。

(山田)家庭裁判所の判断は全国初。10月も盛りだくさんでしたね。

(市川)11月になると、やはりジュビロ磐田のJ1復帰が大きいですね。一方で、清水エスパルスは12月のプレーオフ決勝で引き分けて、J1昇格を逃しました。

(山田)これも大きな静岡ニュースですね。

(市川)あと忘れてはいけないのが熱海富士。9月と11月に2場所連続で千秋楽まで優勝争いをしたというのは大きなニュースでした。

(山田)盛り上げてくれましたよね。

(市川)市川さんの個人的なベストニュースはいかがでしょうか。

(山田)静岡新聞社の編集局では、今日ピックアップしたようなニュースについてみんなで投票し、いろいろと吟味をしながら十大ニュースを選んでいます。今年は袴田さんの再審開始やバイパスの橋げた落下、政令市長選などが多くの票を集めています。やはり僕も「政令市に新市長」が今年一番の大きなニュースかなという気がします。

田辺市政を5年間ほど取材していたので、間近で見ていた市政が難波市長になってこうも変わるのかと。市長によって行政はこれほどまでに大きな転換を迎えるんだなということを感じました。選挙に行く意義を改めて実感するようなニュースでもあったように思います。

(山田)僕は県政でいうと、川勝知事のボーナス返上問題ですね。4月の県議選で知事の対抗勢力が51議席に届かなかったというところから入り、政治のからくりでこれまでボーナスが返上できずにいたという。このコーナーで市川さんに解説してもらってそうした仕組みがわかったからこそ、すごく印象に残ったニュースでした。いやー、今年もいろいろありましたね。

(市川)「3時のドリル」のコーナーに何回来たか数えてみたら、今日で33回目でした。4月から始めて、なかなか思い出深いですね。

2024年の焦点は衆院総選挙!?


(山田)ありがとうございます。来年もいろいろと細かく解説をしてください。おそらく1月早々もいろいろなことがあると思いますから。

(市川)そうですね。

(山田)1月頭はどうかな…。やはり県政よりも国ですかね。

(市川)自民党のパーティー券問題がありますからね。岸田文雄政権の支持率も相当落ち込んできて、過去最低水準まできていますし。

(山田)30%を切ったという話をしていたら、もうそれどころじゃなくなってきていますからね。

(市川)そうなると、やはり衆議院の総選挙がいつあるのかという話題が来年、焦点になってくると思います。

(山田)来年もよろしくお願いします。今日の勉強はこれでおしまい!

SBSラジオで月〜木曜日、13:00〜16:00で生放送中。「静岡生まれ・静岡育ち・静岡在住」生粋の静岡人・山田門努があなたに“新しい午後の夜明け=ゴゴボラケ”をお届けします。“今知っておくべき静岡トピックス”を学ぶコーナー「3時のドリル」は毎回午後3時から。番組公式X(旧Twitter)もチェック!

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