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【若者の投票率】20、30代の投票率はなぜ低い? メディアの多様化も要因の1つか

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「若者の選挙投票率」。先生役は静岡新聞ニュースセンター専任部長の市川雄一です。 (SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2023年9月18日放送)

(山田)今日は若者の選挙の投票率についてですね。静岡市が有識者や専門家による「どうする投票率研究会」というものを設置したそうですね。

(市川)そうなんです。自治体には選挙管理委員会というものが設置されていて、選挙に関する事務とか政策を担当しています。

各選管がより多くの市民に投票に行ってもらおうという取り組みをしていて、静岡市の投票率研究会もその一環として設置することになりました。当面は2025年3月に控える次の市議選の投票率アップを目指します。市議選に焦点を当ててというのは珍しい取り組みかもしれません。

僕もこの研究会のメンバーにマスコミ代表の1人として入っています。先日開かれた初会合に参加して、いろいろ議論をしてきたところです。

(山田)どういうメンバーがいるんですか。

(市川)委員長は世論調査や政治学の第一人者とされている東京大大学院の谷口将紀教授です。静岡県内の政治に詳しい静岡大の井柳美紀教授など大学の先生が中心になっています。

静岡市議選の投票率、40年前から30ポイント低下!

(市川)最近、選挙の投票率がものすごく低下していて、特に若者世代の投票率が「どうする?」というぐらい低くなってるんですよ。

直近の静岡市議選は2021年3月に行われたのですが、投票率は40.1%でした。半分以上の人が投票を棄権しているという状況です。これはものすごく低い。2009年の市議選は51.4%。さらに言うと、昭和50年代から60年代ぐらいの市議選の投票率は70%を超えていました。

(山田)70%を超えてたんですか!

(市川)昔は投票に行くのが当たり前でした。

(山田)選挙権が18歳に引き下げられたじゃないですか。これでも投票率って上がってないんですか。

(市川)むしろ下がっています。若者の投票率は危機的状況です。2021年の市議選の投票率は年代別でも出ていますが、20代の投票率は20.8%しかありませんでした。5人に1人しか投票してないというのが現実です。

若年層全体が低い傾向にあって、30代が28.3%、40代も34.4%と全体の投票率を下回っています。では、誰が投票に行ってるのかというと、全世代で見ると70代が最も高くて55.3%。若者世代と比べると30ポイント以上の開きがあります。

(山田)だから年配の人の政策が優先されちゃうと言われんですね。

(市川)そうなんです。候補者にとっては選挙に行かない若者よりも選挙に行ってくれる高齢者を大事にしようと思っても仕方がない数字だと思うんですよね。

(山田)これだけ顕著に出ていると、そういう候補者が出てきても悪く言えないですよね。

若者は選挙の実施日すら知らない?

(市川)若者が投票に行かない要因はいろいろあると思います。今は期日前投票が告示日の次の日から投開票日の前日まで行われていて、朝8時半から夜の8時まで市役所などで毎日投票できます。昔と比べると投票しやすくなってるのは間違いありません。

それでも行かない。なぜかというと、まず選挙があることを知らない世代が増えているのが1つの要因だと思います。僕なりの分析ですけど、メディアの多様化にこの原因があると思っています。

選挙になると新聞は選挙報道一色になります。だけど、新聞の購読世帯は減っていますし、テレビを見ないという人も増えています。インターネットは自分の関心が高い情報が優先的に表示される特性があるので、選挙があることすら知らない人が増えていることが推察されます。

(山田)「選挙やってたの?」という状態になるということですね。

(市川)先日、静岡市の大学生6人と話す機会があったんですけど、今年4月に静岡市長選があったことすら3人が知らなかったんです。

(山田)それが現実なのかもしれないですね。

(市川)さらに「選挙があることは知ってるけど関心が持てない」という声もあります。

(山田)そうですよね。

(市川)市議選はなかなか関心が持ちづらいと言われています。例えば国政選挙であれば与党である自民党と、野党である立憲民主党、日本維新の会などとは政策の違いが比較的はっきりしているので、選択しやすいと思います。

市議選は候補者の党派に偏りがあります。2021年の静岡市議選は定数48に対して63人が立候補したんですが、自民党の公認・推薦候補が26人。他は公明党6人、共産党4人、立憲民主党2人、国民民主党2人、日本維新の会1人でした。圧倒的に自民党が多い。

これは野党の地方組織がまだまだ脆弱であることが理由なんですが、「私はこの党を支持するからこの候補者」というような選択がしづらくなっています。

もう1つ言うと、争点が見えにくいっていうこともあります。静岡市政の争点というのは、なかなか報道で見る機会が少ないということがあると思います。もちろん静岡新聞は全国ニュースと同様の扱いをしますが、全体的に見ると地方ニュースは関心が高いとは言えない状況です。

どうする投票率!


(山田)市議会が何の問題で争っているのか、どの人に投票したら何ができるのかということが分かりづらいですよね。普段、市議会で議論してる内容はどうやって知ることができるんですか。

(市川)公的なもので言えば本会議のインターネット中継があります。ただ、本会議はほぼ台本を読んでるだけなんです。実際に細かい議論が行われているのは常任委員会などですが、静岡市議会は委員会のインターネット中継をしていません。

もちろん傍聴はできますが、静岡市議会の委員会傍聴席は議論している場所から遠くて見えにくいし、聞きづらい。市民から遠いんですよ。

争点の話で言えば、前回の市議選のときに、当時市役所の清水庁舎の移転というのが問題になっていました。当時、清水庁舎の移転は市議会とか市長が決めるんじゃなくて、住民が住民投票で移転の是非を決めようよと5万2000人分の署名が集まりました。これは有権者の8.9%分なので、相当な数です。

ただ市議会が住民投票をやる必要がないと否決したんです。そのとき市議は賛成8、反対34。議会の多数を占める自民党は反対したんですよ。これはものすごい争点じゃないですか。

(山田)確かに。

(市川)もちろん市政の全ての政策を住民が直接住民投票で決めるというのは現実的ではないですが、賛否が分かれるような問題で、議会も賛否がある程度分かれている場合は、住民が直接どちらがいいかを判断するのは全然悪いことじゃないと思います。だけど、市議会では住民投票をやらないという決定をしたんです。

(山田)でもそれは私たちが選んだ人たちが、住民投票をやらないと言ってるから実施しないということになりますよね。

(市川)まさにそうなんですよ。こういったものすごい争点になる議論が市議会の中では何回も行われていますが、それが投票率の向上には繋がっていません。

実は次の静岡市議選は投票率が40%を切るんじゃないかと言われてるんですよ。
政令指定都市は全国に20市あるんですけど、静岡市は市議選の投票率は10番目ぐらいなんです。低いところでは30%台に突入している自治体もあります。

静岡市もそういった水準に入っていくんじゃないか、このままでは駄目ではないか、ということで今回、研究会を立ち上げてなんとかしようという話なんです。

(山田)若者にどうやって関心を持ってもらうかということですね。

(市川)静岡大学の井柳教授のゼミの皆さんも、どうすれば投票率が上がるかということを考えてくれています。例えば投票所でマルシェを開催するという斬新なアイディアも出てるので、研究会でブラッシュアップしていろんな施策を提案したいなと思ってます。

(山田)また研究会の状況をこのコーナーでお話してください。今日の勉強はこれでおしまい!

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