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【フジドリームエアラインズ(FDA)の静岡空港路線】熊本線休止の理由は? 静岡新聞論説委員長が解説

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「フジドリームエアラインズの静岡空港路線」。先生役は静岡新聞論説委員長橋本和之です。
※SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」で放送したものを編集しています。

リモートワーク浸透でビジネス需要が低迷

(橋本)今日はフジドリームエアラインズ(FDA)が、静岡空港と熊本空港を結ぶ定期便を10月29日から来年3月30日までの冬ダイヤから休止する方針を固めたという話題を取り上げます。リモートワークの浸透などで、ビジネス客の利用が低迷していることなどが要因です。FDAの冬ダイヤは既に出雲線が休止の方向となっているため、従来の5路線から3路線体制となる予定です。

(山田)僕も北海道や福岡に行くのに使ったことがありますけど、熊本はないんですよね。

(橋本)FDA自体は静岡、名古屋、それから最近では神戸からも路線を引き、3空港を拠点に地方と地方を結ぶ路線を運航している会社です。静岡空港からは現在、札幌の千歳と丘珠、出雲、福岡、熊本、鹿児島の各路線を運航しています。冬季になるとちょっと需要が減るので、それに応じて路線を少し減らすということだそうです。

休止する路線の1つが熊本線なんですけど、他の路線と比べるとビジネス路線の性格が強い。コロナ禍で全体的に航空会社はどこも需要ががくんと減りましたよね。コロナが5類に移行して徐々に回復傾向にあるという状況だとは思うんですけども、ビジネスはオンラインで会議ができるようになったりしたので需要がまだ戻ってきてない。そういうことの影響が大きいんじゃないかと思います。

(山田)今までは静岡から熊本に行って直接商談とかありましたけど、今はリモートで十分ということもありますよね。ちょっと残念ですけど、元々搭乗率はどうだったんですか。

(橋本)搭乗率の採算ラインは60〜65%ぐらいと言われていますが、熊本線は今年の4-6月の数値が56%ぐらい。採算ラインと10%弱の差があるということで、今回の冬ダイヤでの改正で休止を決めたということだそうです。

(山田)今回は熊本線がニュースになりましたけど、出雲も路線休止の方向になっているという話もありましたよね。

(橋本)出雲線は観光が主だと思うんですけども、冬は寒い地域なので少し需要が減るということを見越して休止の方向で検討してるということになってますね。

(山田)ということは冬になったら、静岡空港からFDAで行けるのは北海道、福岡、鹿児島の3路線のみになってしまうということですね。

(橋本)航空会社は割と需要を細かく見ています。機材にも限りがありますので、乗る人が少ない路線よりは、乗る人が多い路線に回そうという調整を年間を通して割と頻繁にします。熊本線も以前休止になったことがあったんですけど、復活したという経緯があります。熊本にもいろんな魅力的な観光地がありますので、ビジネス利用と合わせて需要が戻ってくればまた復活する可能性はあるんじゃないかなと思います。

就航当時取材を担当「ここまでビジネス拡大するとは…」


(山田)改めてFDAですけども設立されたのはいつですか。

(橋本)静岡空港は2009年に開港しているんですけど、それに合わせて前年に会社は設立されました。鈴与さんが設立した会社になります。

(山田)会社設立が2008年ということですから、もう15年とかになるわけですね。

(橋本)2009年の開港のとき、僕は静岡空港の取材を担当してました。当時は地方の会社が航空会社を始めるっていうのはすごいチャレンジングなことだと思われていました。開港して間もなく運航を始めたんですけど、当初は2機体制でした。それが今は16機。ここまでビジネスが拡大するとは当時は全く思わなかったです。

(山田)最初は2機だったんですね。それを思うとすごいですね。

(橋本)当初は機体数が少なかったので、機体ごとに色を変えるというのはあまりピンとこなかったんですよ。それが5機、6機と増えていったときに、機体ごとに色を変えて皆さんに見てもらうという戦略が「こういうことなのか」と分かってきました。

(山田)当時から取材していた立場としてはどうですか。

(橋本)ずっと拡大路線で進めてきて、良いビジネスをしてきたと思います。ただ、コロナ禍というのはやっぱり航空会社には大きな痛手でした。ここでちょっと整理をして体制を整えていただき、またさらにジャンプしていただければなと思います。

(山田)静岡空港就航からFDAの会社自体は黒字が続いたんですか。

(橋本)初期投資が大きいので、黒字化したのは2015年度からです。そこから黒字が4年ぐらい続いたんですけども、コロナ禍で赤字になってしまいました。

(山田)FDAとしては今後、需要を取り戻すためにどういう取り組みが必要でしょうか。

(橋本)最近の新聞を見ていただくと分かると思うんですけど、観光面は人がどんどん動き始めててコロナ禍前に戻ってきています。観光庁の統計で6月の宿泊客がコロナ禍の前を超えたという数字が出ています。人がだんだん動くようになってますので、その需要を捕まえて路線の維持、拡大に繋げてってもらえたらいいなというのが一つあります。

熊本に関しては、半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が進出するということで経済界が沸き返っています。いろんな関連会社も集まってきている状況なので、熊本のビジネスシーンは大きく変わってくると思うんですよ。静岡県とどこまで直接関係ができるか分かりませんが、ビジネス需要が戻ってくることもあるかもしれません。

静岡空港もいろんな路線がないと利用しにくいじゃないですか。静岡空港の国内線はFDAが支えているので、今後の経済動向を見極めつつ、需要が見込まれるところにはぜひ飛ばしてもらいたいですね。

(山田)われわれもできるだけFDAを利用したいなと思いました。今日の勉強はこれでおしまい!

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