​女性特有の健康課題を解決「フェムテック」最新トレンドは? Femtech Community Japanが最新版国内プレイヤーマップ公開

フェムテックという言葉を最近よく耳にするという方も多いのではないでしょうか。female(女性)とtechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、月経や不妊、更年期など、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを意味します。

私は、静岡新聞・静岡放送のグループ会社FUJIYAMA BRIDGE LABの石岡美来です。女性の生理の不調を軽減し、性差によって生じる働くハンデを解消するサービス「つきのかたち」の開発を行っています。今回は、フェムテック関連のビジネスのさらなる拡大を目指して関係者のネットワークを作る一般社団法人Femtech Community Japanが公開した「2023年最新版国内フェムテックプレイヤーマップ」をご紹介します。

全部で55社!参入企業3社の「更年期」領域も今後の拡大に期待

2023年最新版 国内フェムテックプレイヤーマップ/Femtech Players Map Japan 2023


Femtech Community Japanは、「女性ヘルスケア領域における課題解消を目指している」、「ITやデータ解析技術などテック要素がサービスの核となっている」などの条件から55社を選定。女性の健康課題における分類と、テクノロジーの分類をかけあわせています。

健康課題の分類は、「月経/避妊」、「妊娠/妊活」、「更年期」、「ヘルスケア/ホルモン」、「婦人科系疾患」の5領域。テクノロジー別では、「IT・デジタル」と生体データを取得するセンシング・検出技術や、機械学習などのデータ解析技術をコアとする「Deep Tech(ディープテック)」の2領域となっています。それぞれの領域別に特徴を説明していきます。

1. 月経/避妊(14社)

ルナルナなどおなじみの月経管理アプリの他、若年層を中心に認知が広がっているPAIRCARE(ペアケア)やケアミーも。家族やパートナーと月経周期を共有できるのが特徴だそうです。クリニックフォアやmederiなどオンラインピル処方の新規参入も多くなりました。

2. 妊娠/妊活(22社)

2022年から日本で不妊治療に保険が適用されたことを足がかりに、増加傾向になっています。専門家による個別相談やオンラインコミュニティが充実。個人向けはもちろん、企業向けにも広がりも見せています。

3. 更年期(3社)

数は3社と少ないですが、チャットサービス「TRULY」やオンライン相談「よりそる」などが並びます。内閣府は、6月に閣議決定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」(女性版骨太の方針2023)で、東京証券取引所プライム市場の上場企業について、女性役員比率を30年までに30%以上にするという目標を示しています。こういった社会情勢もあり、今後増加が見込まれる分野です。

4. ヘルスケア/ホルモン(14社)

企業が女性活躍や健康経営の視点から導入する、従業員支援を目的としたサービスが多くなっています。新型コロナの影響で広がったオンラインでのサービスは、引き続き拡大が見込まれるということです。

5. 婦人科系疾患(2社)

痛みのない乳がん検査や遺伝子リスク判定など開発が進んでいます。

働く女性におすすめサービスは? 理事に聞きました

メディア向け説明会で、国内フェムテックプレイヤーマップについて説明する皆川朋子理事


つきのかたちは、働く女性を主なターゲットユーザーに設定しています。そこで、Femtech Community Japanの理事の方々に、働く女性の生活がより豊かになるおすすめサービスを聞きました。

皆川朋子理事は「PAIRCAREやケアミーなど、新機能がついた月経周期管理アプリ」とのお答え。家族やパートナーなどに生理周期を共有できる機能があるということです。「今自分が生理であること、生理が近いことを自ら口にしなくても共有でき、新たなコミュニケーションツールになっています」と話しました。生理について話すことを気恥ずかしいと感じる人もいるかもしれません。こういったサービスを通して、お互いを想いやることができたらとても素敵ですね。

木村恵理事のおすすめは、体や心の悩みに特化したライフスタイルプラットフォーム「ランドリーボックス」。生理やセクシュアルウェルネス(性の健康)、更年期などの悩みに特化したウェブメディアや通販サイトを提供しています。木村理事は「一般の方の悩みや体験談も掲載されていて共感することが多い」と話します。

総務省の統計によると、2020年時点で、50歳以上の女性人口が49歳以下を上回ったということです。「更年期の女性は今後ますます増えていきます。更年期領域のフェムテック製品・サービスはまだ少ないですが、今後に期待しています」と話しました。

生理や更年期をはじめ、女性特有の健康課題はこれまでタブー視されてきました。多くの女性が体験するものであるからこそ「我慢して受け流すもの」と考えがちではないでしょうか。

ただ、辛さの感じ方はひとそれぞれ。環境やライフステージ、生活リズムによっても様々な悩みがありますよね。フェムテック製品やサービスは、女性がより健康で快適な生活を送る大事なツールになります。もし興味があれば、ぜひ調べてみてください。そしてたまには、ご自身のお悩みを信頼できる身近な人に打ち明けてみてくださいね。

静岡新聞SBS有志による、”完全個人発信型コンテンツ”。既存の新聞・テレビ・ラジオでは報道しないネタから、偏愛する◯◯の話まで、ノンジャンルで取り上げます。読んでおくと、いつか何かの役に立つ……かも、しれません。お暇つぶしにどうぞ!

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