
1974年から始まった「ゲッターロボ」シリーズ
『ゲッターロボ』は、永井豪とダイナミックプロの原作、東映動画(現・東映アニメーション)による、1974年から放送の始まったロボットアニメです。この作品のウリは、主人公たち3人組が乗る3機の戦闘機が合体し、そのフォーメーションによって個性の異なる3タイプのロボットへと変形するアイデアです。
このときの3人組というのが、サッカー部の熱血漢・流竜馬、胸のペンダントに亡くなったお母さんの写真を入れているイケメン・神隼人、それから柔道部の主将で体の大きい巴武蔵という面々。この3人が合体してゲッターロボを操縦し、恐竜から進化したハチュウ人類の恐竜帝国と戦うのが最初のシリーズでした。
これが好評で翌年、鬼の一族である百鬼帝国と戦う『ゲッターロボG』が作られることになります。
アニメで流竜馬はサッカー部なのですが、石川賢による漫画版では空手使いという設定になっているなど異なる部分も多く、アニメと漫画版は一種のパラレルのような関係で始まっていきます。
『ゲッターロボ』と『ゲッターロボG』の前後では、「東映まんがまつり」用のスピンオフ(他作品とのクロスオーバー)の劇場版などが作られていますが、その後、少し間が空いて今度は91年には『ゲッターロボ號』が登場します。
そもそもゲッターロボというのは、“ゲッター線”というものを、進化を促すある種のエネルギー動力源にしているという設定なのですが、これがさまざまな厄介ごとを起こす根幹だったりします。
ところが、ゲッターロボ號はゲッター線で動かないゲッターロボなんです。これは当初『マジンガーZ』のリメイクとしてスタートし、それを『ゲッターロボ』に切り替えたことに由来するといわれます。ここでアニメ『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』と『ゲッターロボ號』の世界線が繋がらなくなります。
一方、やはり石川賢による漫画『ゲッターロボ號』は、過去の『ゲッターロボ』シリーズとの連携が描かれ、さらにここで「真ゲッターロボ」という、さらなるゲッターまで登場します。これが、この後、リリースされるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)シリーズに影響を与えます。
OVAは全部で3シリーズ。1998年リリースの『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』(全13話)、2000年の『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』(全4話)、『新ゲッターロボ』(全13話)があります。
これらのOVAは、漫画版『ゲッターロボ號』によってストーリーの要素が取り込まれたことを受けて、「漫画版の印象的な要素」と「アニメオリジナルの要素」を組み合わせた、それぞれ新しいストーリーとして作られています。
石川先生の集大成となる『ゲッターロボアーク』に繋がっていく作品
僕のおすすめは、『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』。これは4本しかない短いシリーズで、シンプルに激しいロボットアクションを楽しめる作品です。アメリカ製のロボ、テキサスマックが登場しているのもインパクトあります。本作の主題歌が最近『推しの子』の「アイドル」絡みで話題になった『STORM』です。漫画版が好きな方にはその次の『新ゲッターロボ』がおすすめです。これはキャラクターの造形が原作寄りなんです。歌舞伎町で空手道場を開いている流竜馬、それからゲッター線の秘密を探るために革命を起こそうとしてる神隼人と、それにTVアニメの巴武蔵と車弁慶を合体させたような破戒僧・武蔵坊弁慶という3人が集まって新しいゲッターロボに乗るという話です。
途中からタイムスリップして舞台が平安時代になり、ラスボスは安倍晴明です。これが多分シリーズとしては一番きれいにまとまっています。
そして、2021年、ついに久々にテレビシリーズで『ゲッターロボアーク』が作られました。漫画版、アニメ版とパラレルに展開してきた『ゲッターロボ』ですが、ここでついに石川賢の漫画版のアニメ化が実現したのです。
『ゲッターロボアーク』の主人公は流竜馬の息子、流拓馬。竜馬が大量のゲッター線を浴びていたので息子も特殊体質になっています。最初に敵だったハチュウ人類と人間の両方のルーツを持つカムイ・ショウと、微弱ながら超能力を持っている山岸獏という3人組がゲッターロボアークに乗り、アンドロメダ流国という、遥か未来からやってくるゲッターと戦うというストーリーです。
アニメ化にあたって、以前ゲッターロボ號に乗っていたパイロットたちがカメオ的に出演するシーンもつくられ、OVAのキャストがそのまま声をアテました。また漫画版『號』に登場したキャラクターも、登場するなどのサービスもあります。さらにエンディングは、過去のOVA3作の主題歌の新アレンジを使うなど、シリーズ集大成感がありました。
ゲッターロボは、TV・OVAあわせて全7シリーズありますが、こんな感じに繋がっていますので、気になったものから見てみてはいかがでしょうか。(6月19日放送)