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支配人は「2人1組」!? アメリカンスタイルのロードサイドホテル「ファミリーロッジ旅籠屋」/静岡

カメラマンの望月やすこさんに、取材中に出合った身近にあるけど、「へ〜〜」な求人情報を紹介してもらう本企画。今回は、「ファミリーロッジ旅籠屋」をご紹介いただきました。※価格はすべて税込です。
※8月5日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

望月:今回、紹介したいのは「ファミリーロッジ旅籠屋」(以下、旅籠屋)。おそらく日本初で唯一の「ロードサイドホテル」を経営する会社が運営している素泊まりのミニホテルです。よくアメリカの映画で、車で移動してる途中に幹線道路沿いに大きく「モーテル」と書かれた看板のある、2階建くらいのホテルに泊まったりしますよね? その日本版みたいな宿なんです。車で旅行するときに便利な「アメリカンスタイルの素泊まりの宿」を、全国に76店舗展開しています。(※2022年8月現在)

本社は東京都台東区にあるのですが、何で紹介しようと思ったかというと、全国の店舗で支配人を募集していて、もしかしたら静岡県の店舗で募集しているかもしれないと、取材依頼をしたら「どこの店舗になるかは状況次第」ということでした。それでも、静岡県の人も県外にある店舗の「住み込み支配人」に応募できるので、取材は継続!

旅籠屋は、静岡県には富士田子浦店、清水興津店、静岡牧之原店、袋井店、浜名湖店の5つの店舗があります。料金はシーズンで変動しますが、家族4人で1室11000円~、ひとりでも4400円~。夕食はありませんが、朝はクロワッサンなどの軽食の無料サービスがあります。さらに、フロント前に朝7時~夜11時までコーヒー・紅茶などのフリードリンクがあって、全室無料Wi-Fiがついています。

今回は「清水興津店」のお部屋を見せてもらったのですが、客室は約25平方メートル。1部屋に1.5m幅の大きなクイーンサイズベットが2台あります。ベッドが大きいことがウリで、1台に2人で寝るのにも十分な大きさなので、家族4人でもちゃんと寝られます。そこにテレビと冷蔵庫、またトイレとお風呂は別々にあります。もちろん駐車場も無料!しかも、ペット連れでも泊まれます。これまでに、インコ・フェレット・ブタなどを連れてきた人がいるそうです(笑)。

「住み込み支配人」の仕事とは?

じゃあ、「住み込み支配人」は何をするかというと、フロント業務と客室清掃などホテルを維持していくすべての業務をやるんです。1人では大変なので「2人1組」での支配人の募集になるのですが、面白いのがその条件!

公式ホームページから引用すると「心身ともに健康で、誠実で責任感のある、お互い助け合って人生を共にするカップルということだけが条件ですから、学歴や職歴は問いませんし、戸籍上の夫婦であるかどうかも問いません。LGBTの方も同様です」と書いてあるんです。

原口:カップルが条件というのは面白いですね。

望月:親子・兄弟・友人同士は対象外だそうです。実は、求人を見つけるときに「LGBTQの方を積極的に採用している会社」を探していて、それでたどり着いた会社だったんです。だから、採用のご担当者に「できればLGBTQの方にお話を伺うか、写真を提供してもらえないか?」とお願いしたんです。

すると、すぐにメールで返事がきて「弊社は『シンプルで自由な、旅と暮らしをサポートする』をモットーとしております。この『暮らし』の部分は、店舗で住み込みで働く支配人を想定しており、例えば日本の社会に馴染めないような方も含め、どんな素性の方でも差別なく受け入れ、胸を張って働いていただける場を提供することを考えています。

創業当時より30年近くそういった考えだったため、社内でLGBTQの方を意識することがありません。男性同士、女性同士のカップルは数組ずつおりますが、それについて話題になることも、気にすることもない当たり前の環境です。その環境こそが当人たちにとって自由な職場になると思います。

私どもはLGBTQの方にこの職場に気づいてほしくて、採用情報はその単語を使っておりますが、本心ではその言葉自体が差別であると考えております。そのようなことから、いかに真面目に取り扱っていただいたとしても、そこをクローズアップする限り会社としてお断りせざるを得ない状況でございます。」

とピシャっと断られたんです。それで私も、自分の中にそういう差別的な心が残っていたかもしれないと、ものすごく反省したんです。

原口:この説明を聞くと、今の時代にあった考え方をされているんだなという感想が出てきがちですが、そうではなくて、それが当たり前の会社としてやってきたから、そもそも、そういう感想も出てこないんですね!

望月:ちょっと横道にそれましたが、今回取材させてもらった「清水興津店」の支配人は、橋本清美さんとみゆきさんのご夫婦です。支配人になるまでの背景を伺ったら、お2人は福島で32年間商売をされていたそうです。お子さんも独立して、「そろそろ、景気不景気に振り回される自営業を引退して店を畳みたい」と思っていたところ、住み込み支配人募集のチラシを見て、「給料制ならお金のストレスなく働けるんじゃないか?」と応募したそうです。

そこから面接を受けて、泊まり込みの研修で掃除からフロント業務までをみっちり覚え、さらに各店舗を「代行支配人」として、秋田から北九州まで色々な店舗を1年以上回ったそうです。お2人は1年でしたが、この期間については新規オープンなどのタイミング次第です。

1年経った頃、「静岡に新規オープンする店舗があるけど、どうか?」と言われ、前々からお客さんなどに「静岡は気候が温暖だし、どこに行くにも便利だし、人が良い場所だよ」と聞いていて、「清水興津店」での住み込み支配人を決めたんだそう。

原口:運命的な出会いだったんですね!

望月:ちなみに、支配人になるにあたって、お2人の第一条件は「犬も一緒に暮らす」ことだったそうです。旅籠屋はお客さんもペットOKですが、支配人もペットと暮らせます。ペットを飼っている支配人さんも結構多くて、お2人の飼ってる犬は「しらたまちゃん」。保護犬で、けっこう大きな犬ですが真っ白な毛並みで可愛かったです。

あと、大事なことですが、給料は2人で固定給31万円(別途 業績給・賞与)です。旅籠屋の中に確保されている住まいはダイニングキッチンが広めの1LDK。家賃・光熱費がかからないから、老後の資金を貯めるのにもちょうどいいそう。週末や連休は混み合って大変な時もあるけど、平日はそれほど忙しくないから、数時間で作業が終わったら、あとは自分の時間になります。

原口:確かに、家賃・光熱費がかからないと貯金もしやすそうですね。

定年後はどうなる?

望月:ただ、旅籠屋の支配人は「正社員」だから当然、定年があります。定年は65歳。橋本さんのご主人は65歳なので実は昨年定年だったんです。なぜ、定年したのにまだ支配人かというと、今度は1年契約の「嘱託社員」になったから! 給料は同じですが、1年更新の契約になるという違いがあります。

しかし、この「嘱託社員」も70歳までなんです。じゃあ、その後はどうするかというと、70歳を過ぎてからでも、今度は「代行支配人」になれるんです。「代行支配人」の仕事は、文字通り支配人の代行になります。支配人は、住み込みといえども社員だから普通に休日も有給もあります。普通のサラリーマンのように週に1回休むのではなく、毎月1週間程度まとめて休みをとります。その時に代わりにやってくるのが「代行支配人」。有給をくっつけて2週間海外に行くなんていう支配人もいらっしゃるそうです。

原口:働き方が自由ですね!

望月:お2人に「実際に住み込み支配人をやってみてどうでした?」と聞いたら、口をそろえて「やって良かった。自分で商売をやるよりずっといいし、しらたま(犬)も一緒に住めるしね」と言っていました。そんなわけで、旅籠屋では、静岡県ではないですが「住み込み支配人」を募集しています。

原口:静岡では現在募集はありませんが、今後あるかもしれないと。

望月:そうですね。あとは、一度お客として泊まりに行ってみるのもいいと思います!

原口:今回もありがとうございました!

<DATA>
■株式会社 旅籠屋
住所:東京都台東区寿3-3-4 旅籠屋ビル
TEL:03-3847-8858
会社情報
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は25年。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。公式ホームページ「フォーシーズン 望月やすこ」、インスタグラム( @mochikoyasuko

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