「潮かつお」をお飾りつきで作っている唯一のお店!
西伊豆町田子にあります、カネサ鰹節商店。こちらは、西伊豆町独自の文化である「潮かつお」をお飾りつきで作っている唯一のお店なのです。詳しいお話を、五代目の芹沢安久さんに伺いました。
別名「正月魚」とも言われる潮かつおは、古来より縁起のよい食として正月、神棚にお供えされてきた保存食。エラと内臓を取り出し、塩をたっぷりと詰めて味をつけた後、日陰でしっかりと乾燥させているそうです。

潮かつおの歴史は古く、およそ1300年前の文献にも登場していたのだそう。室町時代に生まれたと言われるかつお節の原点でもあるそうですよ。お正月に玄関先に吊るせば、門松と同じ意味を持つ潮かつお。古来、それを船長が切り分けて船員に食べさせることで、その年一年間の雇用契約の儀式になっていたそうです。

今年はかつおが大きく、またお飾りの藁も美しい緑色にできあがったそうです。お邪魔した今はちょうど生産期。ずらっと並んだ潮かつおは圧巻の光景でした。
中継で試食をさせていただきましたが、生の切り身にレモン絞ると、まるで生ハムのような味わい! しょっぱいけれどお酒にあいそうな美味しさでした。

それから少しあぶった切り身を白米の上にのせ、熱湯をかけお茶漬けでもいただきました! 塩味とかつおの凝縮された旨味が溶け出し、本当に美味しかったです。
西伊豆町の誇る素晴らしい文化ですが、魚を1匹丸ごと買う人が減ったり、カツオ漁船がなくなったことから、地元でも食べる人が少なくなってきたといいます。
そこで芹沢さんは小学校に食育活動として出向いたり、保存会を立ち上げて「しおかつおうどん」を広めたり、11月には全国からお客さんを呼んで潮かつお作り体験会を開くなど、文化を守っていく活動をされています。
「昔は県内外でも作られていたけれど、今では唯一、西伊豆町にのみ残る文化だからこそ、とにかく残し継続させて行きたい」とおっしゃっていました。美味しいし、見た目のインパクトがあり、福を呼び寄せてくれそうな「潮かつお」。
潮かつお(切り身75g500円、箱入り4,600円、お飾り付き6,480円)は電話やFAX、ホームページからも注文を受け付けているので、ぜひ食べてみてくださいね(価格は税込、送料がかかります)。

取材を担当したのは……ゆきねぇ
愛知県出身、特技はアコースティックギターの弾き語り。静岡に来て、美味しい食べ物、富士山をはじめとする綺麗な景色に感動しました。さまざまな話題を明るく楽しく伝えていきますのでよろしくお願いします!