2012年02月26日(日)付 朝刊
国語は、すべての教科の根幹に関わる。なぜ、そのように言われるのか。それは英語であろうが数学であろうが、脳内においては、日本語でもって思考しているからである。知的な頭脳活動の根本である以上、国語力の獲得は学業成就のための必須条件なのだ。
さて、その「国語」を教科として考えた場合、どうすれば実力アップが望めるのかを以下に記す。まず、知っている言葉の数を増やすこと。語彙[ごい]が増えれば、思考力が伸びる。思惟[しい]のクオンティティーが増えるとは、まさに頭が良くなることと同義。次に、知識量を増強せよ。これすなわち、物識りになれ、という意味だ。情報の引き出しが増量されれば、さまざまな内容を比較し選別し、適切な答えを引き出す判断力が強化されるだろう。
ここまで読んできて、なんだこれでは全然具体的じゃないではないか、と思われるかもしれないが、実は「ひたすら読み、一途[いちず]に考え、とにかく書く」ことが最も効果的な学習方法なのである。学問の伸長に、近道はない。まずは毎日、新聞を読むべし。高校生のジョーシキではなく、世間一般の常識を習得せねばならぬ。さまざまな事象に対し、「何故~なのか」と疑問を抱け。そして原因を推察し、根拠を明示しつつ文章を書くのだ。
確かにこれら一連の作業は、非常に疲れる営みだ。しかし学習とは、微々たる存在の、離離たる自分を見つめ直すことでもある。刻苦勉励の後、新たな自我を表出するとき、諸君は真の国語力が付いたことを自覚できるに違いない。健闘を祈る。
(静岡市立高・実石克巳)