2014年11月01日(土)付 朝刊
■NIE楽しくやさしく(11)=NIE活発化を目指して
世界新聞・ニュース発行者協会(WAN-IFRA)は10月12日、日本新聞協会等12か国の新聞団体を「世界のNIE殿堂」に認定し、表彰しました。「NIE殿堂」は、各国の若者読者の育成活動を評価し、NIEが世界で活発化することを目指して今年創設されました。
そもそもNIE(エヌ・アイ・イー)とはNewspaper in Educationの略で、「教育に新聞を」と訳され、学校などで新聞を生きた教材として活用したり、役立てたりする活動の総称です。1930年代アメリカで、社会奉仕・慈善事業を行う篤志家が新聞を買い取り、まとめて学校に寄贈したことが始まりといわれています。当初はNIC(Newspaper in Class)と呼ばれ、後に「Class=教室」から「Education=教育」の「E」に変わりました。
日本でNIEが公式に認知されたのは、1985年の日本新聞協会主催の新聞大会(静岡大会)です。その後、日本新聞協会と教育界が提携して全国各地にNIE推進協議会を発足させ、現在では学校をはじめ、刑務所、高齢者施設、障がい者施設、移住者のための語学教室等で取り組まれています。
このようにNIEへの期待が高まる今日、NIEが「やさしい」(易しい、優しい、優れている)と感じ、NIEに「たのしく」取り組める工夫が益々大切となってきました。
本年3月、私は静岡県が発刊した『発見!富士山静岡空港』(学習素材集:小学生版・中学生版)の監修を担当しました。その際、中学生版ではすべての項目において新聞記事を重要な学習素材として位置づけました。新聞は社会のさまざまな事象や人々が必要とする情報を整理して伝えており、社会を知るための便利で極めて有効な学習素材だからです。
学習素材集では、新聞記事から素朴な「はてな」を見つけ出したり、記事内容が「やさしい」と感じたりして、新聞を活用する「たのしさ」を実感しながら、子どもの知的好奇心を高め、探究力を育成する「しかけ」も工夫しました。
今回の「NIE殿堂」の認定を機に、「たのしく、やさしい」NIEの活発化を図る一層の取り組みを教育現場に期待します。
(安藤雅之・常葉大大学院教授)