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社説読み小論文の練習

2011年10月30日(日)付 朝刊


 作文と小論文は、どこが違うのか。まず、作文は感情や感覚などフィーリングを重視する。感じたことや思ったこと、感想をそのまま文章にすればよい。つまり、作文には理由がいらないのだ。それに対し、小論文は理由・根拠を挙げ、それを基とした考察が為されなければならぬ。さらに、文章の構成も結論・根拠・結論の換言という三段論法で、これはまさに新聞における社説の文体なのである。
 例文を挙げよう。
 ▼私はJ先生が嫌いだ。大嫌いである。近寄っただけで鳥肌が立つ。見るだけで虫酸が走る。とにかく感覚的に嫌なのである。
 ▼J先生は教員として失格だ。何故ならば、女の子ばかりをヒイキする。つまり、J先生は良い教員とは言えないのである。
 二つの文章の違いが分かるであろうか。
 作文の方は一切の反論ができず、そこで議論は終了してしまう。いくらどうしようもないJ先生だって、どこかにほんのわずかくらいは良いところがあるんじゃないの、とかばっても、「それでも私は嫌い」と言われたら、オシマイである。一方、小論文のほうは異なる見方ができる。ヒイキされた女の子の側から見れば、成績アップとなる訳だ。つまり、具体例から考察を経て導き出される結論=論理があり、違う視点からのアプローチが可能で、内容に発展性があることが小論文といえる。以上の点を念頭に置いて、新聞記事を読んでみよう。社説などは、特に小論文そのものの構成になっているはずだ。文末表現を参考にしながら、社説を読み込んで小論文の練習に取り組もう。
 (静岡市立高・実石克巳)