一緒にNIE

文章生む力こそ第一歩

2011年10月02日(日)付 朝刊


 コラムを書き写すな!と、声を大にして言いたい。考えてもみよ、受験生諸君。いくら名文とはいえ、他人の文章をただ書き写すだけで文章力がつくはずがなかろう。断っておくが、私はコラムの筆写そのものを否定しているのではない。大学の小論文入試が要求している文章力はつかないと言いたいのだ。
 何故[なぜ]ならば、何ら思考せずに文を書き写しても小論文に必要な論理構成力・独創的発想は身につかぬ。文章を生み出す苦しみこそが、実力養成の第一歩と考えよ。次にコラムと小論文では文体が異なる。小論文は冒頭に結論を置くことが鉄則だが、コラムは結びでの話題転換や余韻の妙を良しとするではないか。さらに、書写は文を見た瞬間からいきなり清書し始めてしまうものだ。だが、これは小論文執筆では最も忌避すべき姿勢だ。必ずアイデアの構成メモを書き、順番を整理してから書きださなければならない。
 だいたい、コラムは文章の達人とも言える人が豊富な知識・体験を駆使しての文章だ。膨大な量の受験勉強をしながら、緊迫した入試会場で初めて読んだ問題を元に要求される文章と、根本的に異なることは自明の理であろう。
 では、今行うべき対策は何か。まず、五月までさかのぼって自分の進路に関連する記事を読み込み、基礎知識を獲得せよ。そしてとにかく書いてみることだ。もし、どうしても文が書き出せない場合は、社説の文章構造を参考にすること。主張内容・文末表現・実例引用法を、そのまま自分の書かねばならぬ内容に当てはめて書いてみよう。過去問は、できれば十年分は確認したい。

(静岡市立高・実石克巳)