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主体性、対話の学び 新聞から 新規実践6校が抱負

2025年08月03日(日)付 朝刊


■主体性、対話の学び 新聞から 新規実践6校が抱負 

 日本新聞協会はこのほど、2025年度のNIE実践指定校を全国で514校決定した。県内は新規6校と昨年度からの継続6校の計12校。主体的・対話的な学びを深めるため、新聞を活用した教育活動に取り組む。活動は2年間。新規校に抱負を寄せてもらった。

 <2025年度NIE実践指定校>
 【新規】長泉南小、静岡西奈小、常葉大橘小、菊川堀之内小、浜松富塚西小、相良高
 【継続】東伊豆熱川中、静岡清水第六中、御前崎中、浜松浜北北部中、桐陽高、沼津視覚特別支援学校

 長泉南小 瀬戸浩孝教諭 <多様な価値観の理解へ>
 高学年を担任している私は、子どもたちが多様な情報に触れる今、「自分の意見を持ち、他者の価値を認める力」を育てたいと考えています。多様な価値観があるからこそ、対話が生まれ、深い学びにつながります。
 新聞は、じっくり読む時間と中立的な視点を通して、子どもたちの思考を深め、視野を広げる手助けとなります。NIE担当として、子どもたちが主体的に問い、考え、学び合う実践を大切にしていきたいです。

 静岡西奈小 藤井智之教諭 <情報を活用する力 期待>
 本校では、子どもたちが「社会とつながっている自分」に気付き、主体的に学ぼうとする力を育てていきたいと考えています。
 新聞を教材として活用することを通して、読み比べる活動=情報を多方向に捉える力▽調べ学習や資料としての活用=自ら問いを持ち、情報を読み取り活用する力を育てていきます。
 また、今起きている出来事から、学習への関心の高まりや学んだことが実社会とつながっている実感が得られることを期待しています。

 常葉大橘小 加藤直子教諭 <生きる力のアイテムに>
 「なるほど!」と子どもたち。6月、備蓄米についての新聞記事を朝の会で取り上げました。世間では備蓄米、古古米などのワードが飛び交ってはいるがどういうことなのか...と疑問に思っている子どもが多かったようです。そこで新聞を基に読み解くと、大変納得した様子でした。
 新聞は、子どもの知的好奇心の向上を促します。好奇心をもって新聞を読み、友達との対話を通して個々の価値観を構築していきます。新聞が人生に役立つ「生きる力のアイテム」として、子どもたちの生活に浸透する実践を試みたいと考えます。

 菊川堀之内小 小倉慎一郎教諭 <教科の枠を超えて学ぶ>
 現代社会の大きな課題から、知らない場所で起きている小さな出来事まで、世の中と私たちをつなぐ「社会科的」な魅力。プロの記者の卓越した文章力を介してそれを感じ取れる「国語科的」な魅力。情報を比較し、選ぶという、今を生きる上で必要な力を付ける「情報教育的」な魅力。
 多面的な魅力を持つ新聞というコンテンツは、教科の枠を超えた子どもの「学びの場」になると感じています。「新聞を通して、自分は変わった!」。子どもがそう言えるような実践を展開したいです。

 浜松富塚西小 山田偲緒教諭 <「好き」「面白い」活動を>
 新聞離れが進み、児童はインターネットで興味のある情報のみを取り入れるようになっていると感じます。本校では、発達支援学級の児童を中心に、新聞を活用した簡単で楽しい活動を考えています。
 新聞に出てくる文字や写真を使って、児童の「好き」「面白い」という気持ちを大切に、活動を考え、児童が新聞に親しむことができるよう、さまざまなきっかけづくりをしていきたいと思います。
 そして、児童とともに自分自身も、新聞の良さを感じていきたいです。

 相良高 金原遼教諭 <多角的視点で魅力発信>
 現代は情報社会となり、子どもたちの主な情報源はインターネットやSNS(交流サイト)へと移行していると感じます。一方で、信頼性が高く、多角的な視点から情報を伝える新聞を情報源とする人も多くいます。現在、高等学校には魅力的な学校づくりとその情報発信が求められています。
 本校ではNIE活動を通じて、生徒が物事を多角的に捉える力を養いながら、新聞を活用して本校の魅力を広く発信していきたいと考えています。 

 

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(93)社会との結び付き知る(中村都教諭/静岡千代田小) 

 

 週末の課題として、子どもたちは私が選んだ記事を読んで感想などを書き込むワークシートに取り組んでいます。記事は、小学3年生の間ではほとんど話題にならないけれど、彼らの生活圏から少し離れたところで起こっている情報で、社会と結び付いているものを探します。
 先日、森町で特産トウモロコシの収穫が始まるという本紙記事を見つけ、ワークシートを持ち帰る前に、全員で内容を確認しました。写真には、早朝から広い農園で行われる収穫作業の様子が映し出され、作業の大変さを感じ取ることができました。
 さらに記事を読むことで、まさに今がトウモロコシを一番おいしく食べることができる時期であるということが分かり、話題が食べ物の「旬」にまで広がったのです。週明けに提出されたワークシートには、トウモロコシ以外の旬の野菜についてたくさん書かれていました。
 社会に結び付いた記事を読み続けることで社会の出来事に敏感になり、記事の内容を超えて大きく話題を捉えることができるようになります。社会の問題や出来事を自分の生活に結び付けて考えることは、社会を生き抜く力を育むことになるのです。
 (中村都教諭・静岡千代田小)