一緒にNIE

決断力養う"経営戦略"

2011年08月07日(日)付 朝刊


 NIEは短期と長期の目標を設定し、それぞれのスパンのテーマに応じた実践をしなければならない。やみくもに行き当たりばったりの新聞記事利用ではなく、実践する自分にとってどのようなメリットがあるかをあらかじめ模索し、実践した結果を最大限に有効利用するのだ。新聞を前より読むようになった、などというような漠然とした効果を強調したところで、NIE実践が推進されるわけがないだろう。事実を客観的に伝える文章力を身に付ける、広範な知識を獲得できる、など具体的な成果を明示し、現実社会で実際的に役立つことを証明してこそ、広まるのである。つまりは、経営戦略を持ってNIEを行わなければならない。教育戦略・あるいは学習戦略と言い換えても良かろう。受験勉強とは自分の人生の経営戦略立案に他ならず、NIEはその人生を経営する上での単なるツールにすぎない。しかし新聞という情報ツールをうまく使いこなすことは、社会生活を営む上での必要事項である。何故ならば、知らないということは悪であり、情報を持たないということは民主主義社会においては決定的に損だからだ。ただ、現在は情報過多の状態になっており、これは情報不足よりも深刻だ。重要な情報が埋もれ、活用できない状況に陥っている。
 今後、将来を担う人材の条件として、膨大な情報の中から必要なものだけを取捨選択し、迅速な決断をする能力が要求されるだろう。NIEは面倒であるが、そのような必ず必要となる能力を獲得できるメリットがある。ならば当然、実践すべきなのではないか。
 (静岡市立高・実石克巳)