2013年06月09日(日)付 朝刊
6月は国の「環境月間」です。全国で環境保全のためのさまざまな行事が行われます。児童生徒の関心が高い環境問題の一つが「地球温暖化」です。環境月間に合わせて新聞の関連記事を見せ、理科の授業はもちろんのこと、特別活動や「総合的な学習の時間」で、この問題を児童生徒に考えてもらう時間を作りたいものです。
最初に、「地球温暖化」について、解説します。中学校理科や高校地学基礎の教科書に、「地球温暖化」が取り上げられています。学習前なら予習になり、学習後なら復習になります。小学生の場合、環境省のWebページ等に、児童向けに地球温暖化問題を解説した資料がありますので、利用して説明します。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスが増えることが、地球温暖化の原因の一つであることを紹介した上で、関連記事を読みます。
今年5月9日、ハワイのマウナロア観測所で、大気中のCO2濃度が、初めて400ppmを超え、最高値を記録しました(記事①)。ハワイ島のCO2濃度は世界の指標とされています。このままCO2が増え続けると、異常気象が常態化するなどの深刻な被害が出るおそれがあります。
CO2など温室効果ガスの排出増による地球温暖化の影響は高山の氷河にも及んでいます。2012年のアルプスの氷河面積が、1960年代後半から70年代前半に比べて4割近く減少しました(記事②)。専門家は、洪水の発生などを招くおそれがある、と指摘しています。
世界地図でアルプスやハワイ島の位置を確認してみましょう。どちらも、人間活動の影響が少ないはずの地域にあります。産業活動により排出されたCO2は、風に乗って地球をめぐっているのです。
5月20日、米オクラホマ州で巨大な竜巻が発生して大きな被害がありました。日本では、昨年5月6日につくば市を竜巻が襲い、深刻な被害がありましたが、それを上回るスケールでした。専門家は、地球温暖化が進むと、日本でも今回のオクラホマ州で発生したクラスの竜巻が起こり得ると指摘しています。静岡でも、時々竜巻が発生しています。今後、温暖化が進んだ場合、静岡県で巨大竜巻が発生する可能性もあります。竜巻の記事を提示し、より深刻な事態を起こさないために対策を考え、実行する必要があることを説きます。
子ども達が興味を持ったら、温暖化防止のために各自で実施できる活動を提案してもらい、可能なところから学校や家庭で取り組んでみるとよいでしょう。
取り組みは短期間で終わらせないで、これから暑くなる夏に向けて継続していくとよいでしょう。
児童生徒を対象とした、地球温暖化防止についてのテーマで応募が可能な、エコ活動等のコンクールが多数あります。作文・小論文・実践活動報告・自然科学研究などジャンルも幅広く、個人・グループ・学級単位・学校単位など、応募形態も多様です。多くのコンクールの締め切りは9月です。夏休みに地球温暖化防止の研究に取り組み、応募してみてはいかがでしょうか。
(吉川契子/静岡中央高)