2013年04月14日(日)付 朝刊
新聞の科学記事を紹介する取り組みを1年間続けると、生徒たちは科学ニュースに関心を持つようになります。理科好きな生徒は、より深く知ろうとし、理科が不得手な生徒も理科と日常生活との関わりに気づくようになります。
インターネットでも科学ニュースは入手できますが、生徒たちにとって、文章表現が、やや難解なものが見受けられ、授業で紹介するためには一工夫する必要があります。新聞記事は、生徒たちが短時間で理解できる、分かりやすい文章表現等が使われています。これらを用いて生徒の理科学習に対する関心を高めたいと思っています。
ロシア南部ウラル地方のチェリャビンスク州に今年2月15日に隕石[いんせき]が落下し、大きな被害がありました。このニュースはテレビやインターネットでも大きく報じられ、生徒たちも高い関心を持っていました。
ロシアの隕石事件が、静岡新聞で、どのように取り上げられたかを振り返り、生徒に示す時のヒントを、拾ってみましょう。
2月16日朝刊は、「ロシア南部隕石落下」等と、3面にわたる大きな扱いで報じました(記事①)。授業時間最初の数分間で、これらの記事を使って、生徒たちに、出来事を紹介する場合は、要点を絞る必要があります。
隕石落下の際に発生した衝撃波で建物に被害が生じ、割れたガラス片などで多数の負傷者が出たこと、隕石のふるさとが小惑星であること、今回の隕石は小さく、落下の予測が難しいことを、写真を見せながら説明すると、理解しやすいでしょう。
2月17日朝刊は、米航空宇宙局(NASA)の分析結果を取り上げ(記事②)、3月3日の週刊「YOMOっと静岡」(記事③)は、今回の隕石落下のイメージ図、隕石とは何かについての説明、過去の主な隕石一覧、今から約6500万年前の巨大隕石地球衝突による恐竜絶滅などを紹介しています。
中学校理科の教科書・高校地学基礎の教科書には、小惑星のことと、隕石による恐竜絶滅についての記述があります。関連する教科書のページを示すことにより、これらの新聞記事が、予習復習にも役立ち、科学的な理解の一助となります。
記事③は、浜松科学館で常設展示している篠ケ瀬隕石(県天然記念物)を紹介しています。県内では他に、ディスカバリーパーク焼津でも隕石の展示を行っています。これらの科学館では、隕石に直接触れたり、磁石を近づけたりすることができます。また、奇石博物館(富士宮市)では、チェリャビンスク隕石の実物を、今年5月初旬まで展示しています。理科学習では、実験や観察が大切です。記事を読んだ児童生徒は、隕石に興味を持つと思います。科学館などで、隕石の実物を見るように勧めると良いでしょう。
(吉川契子/静岡中央高)