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説得力ある文章を習得

2011年04月17日(日)付 朝刊


  高校教育において新聞記事を活用する最大の目的は、ズバリ大学入試・入社試験対策であろう。特に、大学入試では新聞記事から小論文のテーマが出題されることが多く、約8割の国公立大学が導入しているという調査結果もある。
 これは単に暗記力のみの学力を測るのではなく、文章を正確に読み取り、自分の考えを分かりやすく書く能力を要求していることに他ならない。それには、日常的に自ら情報を求め、重要度に応じて取捨選択する。そして、思考の結果を適切に表現する訓練を行う必要がある。単に与えられた教材をこなす受け身の姿勢では、小論文入試には太刀打ちできないのだ。常に「なぜ?」という意識を持ちながら新聞を読み、自分の希望分野の知識を増やしていこう。説得力のある文章を書くためには、幅広い知識が必要であり、こればかりは一朝一夕で身につくものではない。
 入試で引用される記事は、5月から10月までのものが多い。希望の分野に関連する記事をスクラップし、新聞記事の文体をまねて説得力のある文章を書いてみよう。説得力のある文章とは、冒頭に自分が考えた結果、すなわち結論を最初に書いてしまうことだ。次に、何故そのように考えたかの理由と実際に自分が経験した体験例を補足しよう。最後にもう一回、結論を冒頭部分とは別な表現に変えて繰り返し、強調すると完璧だ。四つの段落を同じ字数でまとめると、構成のしっかりした文章となる。
 社説やコラムなどの文章構造が、このパターンの良いお手本となるはずだ。
(静岡市立高・実石克巳)