一緒にNIE

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新聞を防災、復興の力に 公開授業 事実読み取り 心情理解-岩手でNIE全国大会

2018年09月01日(土)付 朝刊


本県NIE実践指定校 大会に参加して

 

■「話し合い」のツールにも 山根渉(静岡聴覚特別支援学校)

 参加させていただいた2日間で特に刺激を受けたのは、盛岡聴覚支援学校の実践発表だ。本校と同じく、耳の聞こえにくい子どもを対象にしているので、本校と共通した課題をもっている中での実践だった。課題は同じでもアプローチの仕方に違いがあり、大変参考になった。
 本校では、新聞を「読む力」「書く力」「社会性」を上げるためのツールと捉えていたが、盛岡聴覚支援学校では「話し合い」のためのツールと捉えているようだった。文字媒体である新聞を見て、話し合いのために使おうと考えられるのは、柔軟性が高くて勉強になった。本校でのNIE活動にも、読み書きだけでなく、話し合いを取り入れたいと思う。
 

■被災地生徒の成長実感 江間喬(遠江総合高)
 NIE盛岡大会に参加して強く感じたことが二つある。
 一つは新聞の力の大きさである。新聞が人と人、子どもと社会、学校と地域をつなぐ接着剤になる、という指摘には深く納得した。震災と復興を経験している東北人の声だからこその説得力があった。
 二つ目は新聞の力はキャリア教育に役立つということである。新聞を活用した、不来方高校の復興を象徴する作品の創作や、宮古水産高校・久慈東高校の小中高連携学習で、生徒が大きく成長していく様子が伺えた。NIEは、わが校で取り組んでいるキャリア教育(社会的・職業的自立に必要な資質・能力を身に付ける教育)を推進させる力になる、との認識を新たにした。
 

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■紙面授業=国語 大人の好奇心 静岡サレジオ高 荒井俊太先生
 酷暑となった平成最後の夏、教師として感じたのは「生徒たちに好奇心を生かした教育をしたい」ということです。私は教師という仕事は「伝える」ことを最優先に考えなければならないと考えています。その時に必要なものは「大人の好奇心」ではないでしょうか。
 子どもの時の「好奇心」が大人になるとなくなってしまうのは、経験を積み、知識が備わっていくからです。しかし「大人の好奇心」こそ、現代の子どもの教育のために必要な、教師の持つべきスキルではないでしょうか。
 私たちが子どものころ、夏休みは新しい発見と冒険の毎日でした。「知らない」ということを最大の武器にし、「知ろう」とすることに全身全霊で向かったあの姿勢を学びに向けることが、とても重要だと私は真剣に考えます。
 そしてそれは教師にも必要なのです。
 教育分野も改革が進み、AI(人工知能)技術が進行し、子どもたちの教育にICT(情報通信技術)機器が導入されるなど「知らない」が「知れる」時代になってきました。AIが人間を超えるシンギュラリティーと呼ばれる一大変化が2045年ごろ訪れるという予測は大きな関心を集め、新聞紙面でもこれを巡る論説が多数掲載されました。
 でも、人間である私たちだからこそできる教育が必ず存在するはずです。
 まず、私たち人間には「心」があります。そして知りたいと行動する「好奇心」があるのです。全ての学習は「経験」が起点となって成り立っています。外に飛び出し、怖がらずに「経験」という宝物を子どもたちに与えられる、そんな教師であるためには「好奇心」こそが必要なのです。
 忘れてはならないものを失わず、新しい時代に飛び込んでいける生徒を一人でも多く私は育てたいです。恐れず、私も進み続けます。

 

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(18)=実践タイミング難しく
 高校では校種により、NIEへの取り組みが多様化する。例えば筆者の現任校では、試験範囲をこなすのが精いっぱいで授業でNIEを実践する余裕が全くない。
 そこで、今回はNIEしくじりシリーズと称し、過去・現在の失敗を振り返ってみたい。
 NIEをクラスで一斉に実施する時間がないので、ある時、個人で実践してもらおうと考えた。小論文対策として社説反論ノートの添削を生徒に呼び掛けたが、続かない。膨大な課題に追われている実情を十分承知しているだけに催促もできず、いつしかうやむやになり、個人的NIEは空漠の彼方へ。
 一方、休み前とか学校行事後とか、ポッカリ空白の時間が訪れることがある。
 よ~し、NIEを実施するチャ~ンスと、その時は思うのだが、なにせ準備をしていない。正直、毎日が自転車操業で、「空き時間」は突然訪れるというのが実感。やっちゃえ! でも、教員の仕込みなしでの実践はかえって逆効果じゃね? NIEアドバイザーたる自分がNIEの価値をおとしめていいのか、いやならぬ、と煩悶[はんもん]している間に光陰矢のごとし。嗚呼[ああ]!
 (静岡高・実石克巳)