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沼津東、韮山、富士東高が新聞"競作" 未来への提言 3校切磋琢磨 サンフロント21懇話会30周年記念

沼津東、韮山、富士東高が新聞"競作" 未来への提言 3校切磋琢磨 サンフロント21懇話会30周年記念 

 

 沼津東、韮山、富士東の3高校の新聞部員が、「10年後を見据えた輝く地域づくり」を共通のテーマに据えた新聞制作に取り組んでいる。題材の選定や取材・執筆、整理作業を単独でこなす日ごろの活動と異なるのは、同一テーマで紙面づくりを進める他校の存在。各校は節目で互いの発表に聞き入り、切磋琢磨[せっさたくま]しながら、伊豆・東部地域の活性化に資する提言をまとめている。

 沼津東の題材は「自転車インフラの拡充で新たな観光を」。1年生部員4人が、高校生にとって身近な移動手段に着目した。沼津や三島、長泉などの各市町でシェアサイクルを展開する事業者を取材。利用実態をまとめ、課題を分析する。
 JR三島駅を起点に、柿田川周辺や沼津港を経由してJR沼津駅を目指す独自のサイクリングルートを考案した。背景には、東京や京都、大阪などを巡る訪日客らが本県に立ち寄らずに通過してしまう現状がある。各地の魅力を楽しめるルートを提案することで、観光課題の解決につなげたい考えだ。
 普段は校内に掲示するA4判などの新聞制作に取り組む。部員らは「紙だからこそ手に取ってもらえる」「手元に残るため、自分たちが残した結果を実感できる」と、やりがいを語る。
 ただ、企業や行政への本格的な取材のほか、他校を意識しながらの作業は初めて。正確な記事執筆のために題材の関連知識を蓄え、取材メモを繰り返し確認するなど基本を徹底する。
 各校は昨夏の会合で題材を決め、昨秋にオンラインで経過を報告。意見を交わしたほか、事務局や静岡新聞社の記者から助言を受けた。まとめ役の山根晶乃さん(16)は「他校の進捗[しんちょく]が気になる。社会人からのアドバイスも貴重。取材の手法や着眼点の参考にしたい」と新鮮さを口にする。
 新聞制作は、静岡新聞社・静岡放送の「サンフロント21懇話会」30周年記念事業の一環。6月の記念式典で新聞を配布する。
 韮山は「廃校を利用した地域活性化」、富士東は「輝くふるさとを目指して 地域のこれからを担う中高生」を題材に、地元関係者の声を集めながら紙面制作を進めている。
 (東部総局・駒木千尋) 

 

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紙面のレイアウトについて意見を出し合う沼津東高新聞部員=2月上旬、沼津市の同校 

 

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3校が集まって題材を決めた会合=2024年7月、沼津市 

 

 

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NIEアドバイザーのワンポイント講座(88)30年経ても有効な教材(吉川契子教諭/静岡城北高) 

 

 30年前の1月17日、阪神大震災が発生しました。静岡でも体に感じる揺れが観測され、大きな地震が発生したのに違いないと確信しました。
 今はコンビニエンスストアで新聞を買えますが、当時は店舗数が少なく、静岡駅の売店に何度も足を運んで連日、新聞を買い集めました。
 現地の被害状況が次第に明らかになります。家屋や高速道路の倒壊、火災の発生。避難できた方々の談話。肉親や知人を失った悲しみ。隣近所で協力し、工夫した避難生活。交通が遮断された中、水や食料を届けた人たちやボランティアの活動。
 専門家により地震のメカニズムの研究が進められ、その内容も多く掲載されました。「活断層」という専門用語は広く一般の人に知られるようになりました。
 大地震が予想される静岡の生徒たちに、発生した大地震のことを学ばせたいと考えたとき、新聞は最適の資料でした。私は最近まで、段ボール箱2箱分の当時の新聞記事を保管していました。地学の教科書には、地震被害について、多くても2ページ程度しか書かれていません。紙面をくくりながら読むことで、大地震の怖さや地震について学べる新聞は、阪神大震災から30年たった今でも、引き続き有効な学習教材なのです。
 (吉川契子教諭・静岡城北高)