
高級ブランド「クラウンメロン」を手掛ける生産者が年々減少しています。その壁となっているのが品質のよいメロンを作るのに必要な「職人技」です。静岡県袋井市では、最新のテクノロジーでこの課題を解決しようという取り組みが進んでいます。
■世界に誇るブランドが抱える深刻な生産者減少問題
2026年5月に高市総理がオーストラリアを訪問した際、首相に手渡したのはクラウンメロン。今やアメリカやイギリスなど、10か国以上に輸出されています。しかし今、深刻な問題を抱えています。
<県温室農協組合 クラウンメロン支所 鈴木陽介事務長>
「メロンの生産者なんですけど、ここ最近は右肩下がりで減少しているような状態になっています。市場の縮小にもつながってしまう所は危惧している」

かつては850人いた生産者も1970年代をピークに減少が続き、今では200人ほどとの4分の1にまで減少しています。
■新規就農者が直面する「技術の壁」

生産者の急激な減少の理由のひとつとしてあげられているのが、メロンを育てる上で必要な技術の高さです。
2025年、33年ぶりに新たにクラウンメロン農家になった須山弘明さんです。脱サラして3年間の研修を経て独立しましたが、今、職人技とも言える「技術の壁」に直面しています。
<クラウンメロン農家 須山弘明 さん>
「灌水量の管理。ここが一番難しいと思っていますね。水をかけている量も数値化が難しい。初めてやる人が見てつかむしかないので、ちょっとハードルが高い」
長年の経験と勘が求められる世界。技術の習得には、年単位の時間が必要です。
<クラウンメロン農家 須山さん>
「できるだけ短期間である程度栽培技術、知識が身につくような形でないとなかなか難しい」
■最新テクノロジーで「職人の目」をデータ化 大学と共同研究
担い手不足に拍車をかける「技術の壁」を最新のテクノロジーで打ち破ろうという研究が、袋井市大野の農園で進められています。
<静岡大学情報学部 峰野博史教授>
「網目のきれいなメロンがどういう風に割れてアミができていくのかをカメラで分析をして、今の栽培の状態が良いのか悪いのかを分かりやすくする研究をしています」
システム開発を行う「大和コンピューター」と、静岡大学が共同で研究しています。
専用のカメラで10秒ごとに撮影をすることで、メロンの網目の広がり方や、気温、湿度などのデータを継続的に記録しています。
■「生育状態が良いのか悪いのかを判断できる」

<静岡大学情報学部 峰野教授>
「網の形成過程をグラフにしたものなんですが、曲線を描いてアミがだんだんできていって最終的には収穫時期を迎える。このグラフがどのように立ち上がっていくのか見ることによって今の生育状態が良いのか悪いのか判断できる」
これまでベテラン農家が経験だけで見極めていた職人の目を、デジタルデータとして「見える化」することを目指しています。
<静岡大学情報学部 峰野教授>
「人とAIがやれること得意なことはそれぞれあると思います。うまくコンピューターを使いながらできるような仕組みになっていくといい」
<県温室農協組合 クラウンメロン支所 鈴木事務長>
「ずっと後世に残し続けて世界に誇れるようなブランドとして発展していけるように。地域全体となって取り組んでいけると良い」
長年の伝統と、最新テクノロジー。その融合が、世界に誇るブランドを未来につないでいきます。
■産地を守るための足場作り

<鈴木康太記者>
県温室農協組合では、引退する農家の設備と知識を新規就農者へと引き継ぐマッチングにも取り組んでいます。
また、袋井市ではクラウンメロンの新規就農者や、技術を後輩たちに伝えるベテランの生産者に向けた補助金の制度を2年前に開始しました。
最新の技術で「技術の壁」に挑む一方、産地を守るための足場作りも進んでいます。










































































