「中部電力にずっとお世話になっている」再稼働遠のき地元経済にも影 近隣自治体からは非難やまず 浜岡原発のデータ不正問題

浜岡原子力発電所の再稼働の審査をめぐり、中部電力がデータを不正に操作していた問題で、1月8日、中部電力の会長が陳謝しました。

再稼働が遠のいたことで地元の経済にも影を落としていますが、安全性の根底を覆す事態に近隣自治体からの非難はやみません。

<鈴木康太記者>
「浜岡原発の仕組みや安全性をPRしている観光施設ですが、館内は閑散としています」

静岡県御前崎市の浜岡原発にある浜岡原子力館。原子力発電の仕組みや安全対策の展示をすべて無料で観覧することができます。

その成果なのか、近隣の掛川市で実施された浜岡原発の再稼働に関する意識調査では、2025年、「安全が確認できれば稼働」と答えた人が42%で、調査を始めた2013年と比べて18ポイント増えていました。
※18歳以上の市民2500人を対象
※2013年:廃炉42.8%、停止16.9%、再稼働:24%

ただ、その大前提となる安全性の信頼は揺らいでいます。

意図的に地震の揺れを小さくみせていた疑いが浮上

突如明らかとなった浜岡原発をめぐるデータ不正問題。

原子力規制委員会による再稼働の審査で中部電力がデータを操作し、意図的に地震の揺れを小さくみせていた疑いがあります。

<原子力規制委員会 山中伸介委員長>
「原子力の安全確保というのは、原子力事業者の第一義の責任。これは国際的な安全原則であり、中部電力が自らその放棄を行ったという重要な事案である」

規制委員会は、立ち入り検査の実施や審査を白紙にする方針についても言及しました。

<原子力規制委員会 杉山智之委員>
「どこが信用できてどこが信用できるがか分からない。その状態で審査の継続は不可能」

不正が行われた当時、中部電力の社長だった勝野哲会長は、1月8日、会見で陳謝しました。

<中部電力 勝野哲会長>
「深刻な問題だと思っております。心よりこういう事態を起こしたことに対して深くお詫び申し上げます」

一方で、日本のエネルギー事情から原発の必要性についても触れました。

<勝野会長>
「何が問題だったのかを中部電力の調査の中で明らかにし、(他の電力会社での影響が)最小限の形で(他の原発の)再稼働が進められるようにしていただきたい」

近隣の自治体牧之原市の市長「ありえないよなって」

一方、浜岡原発の近隣自治体からは、非難の声が。

<牧之原市 杉本基久雄市長>
「私の今年の一字ですが、安心安全の『安』にした」

「市民が安心して暮らせる1年にしたい」と話したのは、御前崎市の隣、牧之原市の杉本市長。その思いは年始早々、崩される形となりました。

<杉本市長>
「うそだろって、びっくりした。ありえないよなって。原子力施設の安全性に対する信頼性を根底から損なうものである。外部の立場から見ても中部電力の弁明の余地はない」

静岡市の難波市長も辛辣な言葉を並べます。

<静岡市 難波喬司市長>
「報道によれば、中部電力の社員が意図的にデータを操作したということですので、それは中部電力への信頼を大きく損なうものと思っています。残念なこと。なかなか信頼回復はできない。厳しいと思いますけれども、とにかく徹底的な調査で何が問題だったのかを明らかにして、再発防止もそうですし、それを踏まえた解析もしていかないといけないでしょうし、そういったところの信頼回復をしていくことが一番大事だと思います」

地元経済にも影

<小松寿し 野川文代店主>
「創業48年くらい。中部電力にずっとお世話になっている」

再稼働の白紙が現実味を帯びる中、影響は地元の経済にも。

浜岡原発から5分ほどの場所にあるこの飲食店には、原発が稼働していた頃、多くの作業員が訪れていましたが、原子炉の停止後は客足が遠のいたと言います。

<野川店主>
「全然静かになっちゃって、寂しいですよ。我々は長いことお世話になっているもんでね。再稼働しかないね。ちょっとにぎやかな昔来てくれた人も知っているもんでね、働いていた衆らね、その人たちが帰ってきてくれればいいと思いますけどね」

住民の思いを裏切る形となった不正行為。1月9日、中部電力は、御前崎市議会や静岡県に対して問題の経緯を説明する予定です。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1