
中部電力が1月5日に明らかにした浜岡原発(御前崎市)のデータ不正問題。
予想される地震の揺れを過小評価していた可能性があり、安全性に根本的な疑問が投げかけられる中、地元からは「極めて深刻」などと厳しい声が上がっています。
「平均値に近い波」を偽装
<御前崎市 下村勝市長>
「安全性に影響を与える極めて深刻な事態と認識している」
浜岡原発を抱える自治体からの怒りの声。発端は5日の発表でした。
中部電力の5日の緊急会見で明らかになったのは、静岡県御前崎市にある浜岡原発の安全をめぐるデータ不正。
再稼働に向けて原子力規制委員会の審査の過程で、設備の耐震設計の前提となる「基準地震動」を小さく見せようとしていた疑いがあるということです。
「基準地震動」は想定する最大の揺れを示す数値で、規制委員会の審査で策定が求められていました。
「基準地震動」の算出の過程で中電は、原発の近くで起こる地震の想定について、ランダムに20通りの地震動のグラフを作成し、その中から平均に最も近い波を代表波(だいひょうは)に選ぶと規制委員会に説明していました。
しかし実際には、先に「代表波」を意図的に選んだ上で、それが20通りの平均に近いものになるように、残りの19の地震動を後から選んでグラフを作成していました。
「地震に耐えられる施設だ」という結論ありきで、データを選び出していた疑いが浮上したのです。
<中部電力 林欣吾社長>
「平均値に近い波ではないものを代表波として、意図的に選定し、地震動を過小評価していたということを確認している」
「頑張りどころ」があらぬ方向に向かったか
この不正は2018年から行われており、この頃ちょうど「基準地震動」の策定の重要な局面でした。
浜岡原発は2011年の福島第一原発事故を受けて全停止。その後、中電は3・4号機の再稼働を目指して審査が進められていましたが、2018年当時は敷地内や周辺の断層による地震評価をめぐり議論が過熱していました。
当時の担当者は「内陸の地震、活断層による地震の評価、審査をしていただいている。ここが頑張りどころ」と語っていました。
頑張りがあらぬ方向へ向かっていなかったか。
専門家・地元から厳しい声
かつて県の危機管理部門トップを務めた専門家は。
<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁客員教授>
「事業者から提出されたデータがきちんとしたデータという前提で安全審査をしている。もし違ったものが提出されていた事例があると、そういった審査のやり方で本当に安全性の確保ができるのかという根本的な問題を提示している。(再稼働までの)時間が何年だとかいう議論が、今の段階でできるレベルではないんじゃないか」
御前崎市の市民からも怒りと落胆の声が聞かれました。
<御前崎市民>
「安全第一ですから、あってはいけないことすぎて、残念なのが正直な答え」
「やっぱり不信感につながってしまう。再稼働しようと思って一生懸命にやっていたのに、不正があるとまた遠のいてしまう」
国も厳しい声で非難します。
<木原稔官房長官>
「原子力利用の大前提である安全性に対する国民の信頼を揺るがしかねない。あってはならない」
中部電力は、外部の専門家だけで構成する第三者委員会を設置し、原因の調査や再発防止策の検討を行うとしています。
さらなる不正疑惑も
データ不正はこれだけではありません。基準地震動の算出過程で、地震動のグラフをあえて100セット作成してから自分たちで1つを選び代表波を選定したケースもありました。
ここに意図的な操作があったのかも調査中ということです。再稼働の行方はますます見通せなくなりました。








































































