田久保真紀氏落選で“劇場”終焉 学歴詐称疑惑に端を発し市政混乱から失職…出直し選挙は実らず【静岡・伊東市長選挙】

静岡県伊東市長選挙は12月14日、投開票が行われ、前職の田久保真紀氏(55)が落選しました。田久保氏は今年5月に初当選を果たしたものの、自らの学歴詐称疑惑に端を発した市議会との対立により、10月に2度目の不信任決議を受けて失職していました。

華々しい船出から急転直下の市政混乱へ

田久保氏は2025年5月の伊東市長選挙で、新図書館の建設反対を訴え、現職を破り、伊東市初の女性市長として初当選を果たしました。当選直後には、「これは市民の方の勝利」「常に市民と一緒にやっていく姿勢を打ち出していきたい」と述べ、市民との協働を強調していました。

しかし、華々しい船出からまもなく、市議会に宛名不明の文書が届いたことをきっかけに、田久保氏の「学歴詐称疑惑」が浮上。市議会で大学卒業について追及、その後の会見で田久保氏は、大学は「卒業」ではなく「除籍」だったと明らかにしました。

二転三転する辞職の意向と議会との対立

この問題を受けて、伊東市議会は田久保氏に説明責任が果たせていないとして、疑惑を調査する百条委員会の設置と辞職勧告決議案を全会一致で可決。当初、田久保氏は辞職の意向を示していましたが、8月の会見で一転、辞職の意向を撤回し、「最後までこの地域を守り抜くこと。必ず結果で皆さんにお返しをしていきたい」と市長続投を表明。百条委員会では、卒業証書の提出を求められたものの、提出を拒否するなどの対応を続けてきました。

不信任決議と市議会解散、そして失職へ

こうした対応に市議会は9月1日、田久保氏に対する不信任決議案を全会一致で可決。この決定を受けて田久保氏は議会解散を選択しました。

10月に行われた市議選は、田久保氏に不信任を突きつけた前職18人が全員当選。選挙後の臨時議会では、「市議会を解散するという大義なき判断」「暴君の所業」などと厳しい言葉で批判が相次ぎ、再びの不信任決議案が全会一致で可決され、田久保氏は失職しました。

出直し選挙での敗北

その去就が注目されてきましたが、失職から約1か月後の11月、田久保氏は出直し選挙への立候補を表明。選挙戦では「私は今回、党の支援も業界団体の支援も有力者の支援も受けずに、本当に市民1人1人の支援だけで戦ってきました」と述べ、「市民のための政治の実現」を強調してきました。

しかし、市政混乱の責任を問われる形となり、今回の選挙では再選を果たすことができませんでした。

伊東市の市政は田久保氏就任以来、学歴詐称疑惑を発端に約7か月にわたって混迷を極めてきましたが、今回の選挙結果により、“田久保劇場”は終焉し、新たな市政運営へと向かうこととなりました。

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