
7月10日、静岡側でも山開きを迎え、多くの登山客が訪れる富士山。より安心して富士登山をしてもらおうと2025年、静岡県小山町の須走口五合目に新たに「救護所」が開設されました。
<東部総局 竹川知佳記者>
「須走口五合目です。午前9時になり、通行止めが解除されました。静岡県側の登山シーズンが始まります。待ちわびた登山客が次々と登って行きます。」
10日、富士山は静岡側も山開きを迎えました。夏山シーズン到来です。
<カナダからの登山客>
Q.富士山は何回目?
「初めて」
Q.何が楽しみ?
「眺めと自然、日の出。」
静岡県小山町の東側から富士山頂を目指す須走口には、国の内外から多くの登山客が集まります。
「ごめんなさい、ちょっと指を貸してもらって」
登山道が開通してすぐ、中国の男性が吐き気を訴えて救護所に助けを求めてきました。
「お熱は36度9分で問題ないんです。今どんな感じ?」
看護師は、高山病の症状とみて、体温や血液中の酸素飽和度を測るなどの対応をしました。
<椿千絵看護師>
Q.高山病が悪化して五合目で対処できないときは?
「救急車呼んじゃいますね。救急車が来るまでに30分くらいかかるので、その間に私たちが何かできるかというところが重要だと思います」
救護所は、静岡県小山町が設置しました。午前6時から午後9時まで、2交替制で看護師1人が待機します。須走口には、これまで救護所がなく、体調不良やケガをした人に専門的な手当てができないのが課題でした。
<小山町 込山正秀町長>
「(救護所は)万が一の事態にも、迅速な初期対応が可能になり、より安全安心な登山環境の提供につながると確信しております」
「山開き」してから最初の週末、霧がかかる中続々と登山客が訪れました。この日の当番、袴田尚子さんは「国際山岳看護師」の資格を持つ山のエキスパート。南アルプス・北岳では医療パトロールも担います。
<袴田尚子看護師>
Q.どんな人が訪れる?
「下山してきて具合が悪いという人がここに寄る。ここに寄るということは、自力下山ができているので、転倒・疲労・熱中症が多いのではないかと思っています」
下りてくる登山客たちの様子を見回っていると一本の電話が。
<袴田看護師>
「足を怪我しているので、こっちのほうで、下りてきたら診てもらいたい」
<袴田看護師>
「歩けているね」
「入ります?診てみます?」
「転んだ?」
<登山者>
Q. いま痛いのは?
「ここ(左足首)痛い」
救護所に来たのは、アメリカから来たという23歳の男性。下山中に転んで、左足首を傷めていました。
<袴田看護師>
「There」
「とりあえず捻挫か何か。骨折までは大丈夫そうです。冷やして、下で診てもらうしかない」
袴田さんは、足首に湿布を貼るなどの応急処置を施し、下山したら病院に行くよう伝えました。
<小山町観光協会の通訳スタッフ>
「今年から救護所があるので、まず連絡して、どういう処置をしたらいいか判断しようということで、救護所があることで大変心強く思いました」
<袴田看護師>
「やっぱり下山の時には皆さんに気を付けてほしい。まだもっと違う事が起きるかもしれないので、もう少し勉強して、いろいろな対応ができたらと思う」
小山町は、救護所の設置で「登山者が安心して登ることができる環境づくりができればいいと思っています」「また来年も富士山に来たいという思いで帰っていただければ」との考えを示しています。