
静岡市にある総合病院の医師らがバンドを組んで音楽活動をしています。結成20年のバンドのボーカルを務めるのは、なんと病院のトップ院長です。
6月7日、年に1度の「済生会フェア」が病院を開放して行われ、多くの人でにぎわいました。子どもたちが、医療の仕事を体験できるコーナーがいくつも設けられました。そして、ステージイベントのトリには、ミスターチルドレンならぬ―
<MC>
「ドクターチルドレンです」
医師ら7人のバンドが登場しました。このバンドのボーカルを務めるのは、岡本好史院長です。職員が約1500人いる総合病院のトップとして采配を振るのが仕事の中心です。この日は、併設の看護学校の式典で祝辞を述べました。
<岡本好史院長>
「ともに医療や福祉に携わる仲間として、祝福し応援します。礼」
<岡本院長>
「私が院長になった時丁度コロナ禍で、バンドの活動は休止中だったんですね。院長になっても、やっていいもんかな?とか院長がこんなことやって、遊んでいるんじゃないかと思われたり、そういう事もちょっと考えたり周りの院内スタッフに聞くと『それはやった方がいいんじゃないか』という声をいただきまして」
ドクターチルドレンは、平日の夜に週1~2回集まって練習しています。
<キーボード担当 整形外科 天野貴文医師>
「おつかれ」
バンドは、あくまで趣味の範疇、勤務時間外の活動です。仕事でみんなが揃わないことも多く、いるメンバーだけで、先に練習を始めるのは、いつものこと。そんな臨機応変さも、20年バンドが続いている秘訣でしょう。
<ギター・皮膚科 松本賢太郎医師>
「仕事が立て込んでて…」
練習場所は、今は倉庫の一角になっている元レントゲン室。窓は、ごく小さく防音性に優れていますが―
<岡本院長>
「暑いですよ。エアコンないもんですから」
<野路毅彦アナウンサー>
「翌朝の仕事に差し支えは?」
<ベース・血液内科 竹内隆浩医師>
「(仕事と)やっていることが違うんで、あんまりダメージにならない。気晴らしになるかなと思う」
<ギター・放射線科 望月亮三医師>
Q. 院長はどんな人?
「見たまんまです。裏表がなくって」
<望月医師>
Q. バンドの時と仕事の時と変わらない?
「こっちは気をつかって、仕事中は、はいっはいって聞いてますけど、ここでは何やってんだー!」
<岡本院長>
「当バンドの最年長、放射線科の望月亮三です」
アンコールも入れて全6曲、30分のステージが終わりました。
<天野貴文医師>
「ライブ楽しいですね。みんなで盛り上げていただいて」
<ドラム・産婦人科 小野田亮医師の子ども>
「お父さんかっこよかった。音が大きくて迫力を感じた」
こうして、人が集まるイベントを開くのは、地域に親しまれる病院でありたいから。そして、もう一つの想いは―
<岡本院長>
「医療とか、福祉に関わってくれる人材が段々、確保が難しくなってる。きょう来たこどもたちが大きくなったら、楽しそうな病院だなと思ってうちに来てほしい」
医療現場は忙しくて大変なだけでなく、こうした活動も、仲間と一緒にできるんだと、院長が先頭に立って、子どもたちにアピールしていました。「ドクターチルドレン」の名にふさわしく。