
静岡県沼津市は、岩手県山田町で危機管理室長として災害対応に当たった“現場指揮官”を「防災アドバイザー」に任命しました。東日本大震災の経験をもとに、沼津市の防災強化に貢献していくと語っています。
2011年の東日本大震災当時、山田町で危機管理室長として現場を陣頭指揮した白𡈽靖行さん(65)。14年前、沼津市から職員の派遣を受けていた山田町。「防災アドバイザー」の就任要請を快諾し、5月15日、沼津市役所で頼重秀一沼津市長から委嘱状を受け取りました。
<沼津市防災アドバイザー 白𡈽靖行さん>
「東日本大震災において、岩手県山田町は全国・静岡県含めて全国の皆さんから支援をいただいた。その恩返しというわけではないが、沼津市に少しでも貢献できればと思っている」
<東部総局 金原一隆記者>
「白𡈽さんは、委嘱式の前の日、沼津市に入り、津波に備える沿岸部を視察しました」
静岡県の第4次地震被害想定で、8メートル超えの津波が想定される沼津市西浦地区では、東海地震の津波対策で19年前に建てられたタワーに上りました。
<危機管理課職員>
「ここはいま、津波避難タワーの指定を外してある。高さが足りないので。避難路がすぐ脇にあるのでこちらで高台に逃げていただく」
<白𡈽さん>
「最初に自分の命を守るのが大事になるので、避難する場所を明確にしておく、『ここは使えないよ』と明確にしておくのは大事だと思う」
Q. 沼津市の印象は?
「沿岸部がすごく長いのがまず第一点。ここを見ていると孤立する集落が出てくるのかな。道路がまず一本。そのところどころが津波で被害を受けた場合、使えない、寸断されるのが目に見えている」
白𡈽さんは、津波避難路に設けられた防災倉庫なども視察。沿岸部の地区が孤立することを前提に、住民と行政の力を結集することが大切だと話しました。
<白𡈽さん>
「きのう、きょうと沼津市を見させてもらって、ハードの部分はある程度整備されている。それにこれから加えて行かなくてはいけないのは、『住民の地域力の向上』が必要。私の経験した部分をお話しできれば、少しでも被害が少なくできるのではと思っている」
白𡈽さんはこれから自主防災組織のリーダーへの講演会や市の幹部職員との意見交換などに取り組み、防災訓練などでは本部運営など実体験を踏まえた助言をしていくということです。