静岡市に自然体験を軸にした保育や幼児教育を行う「森のようちえん」があります。こうした保育施設は県内ではまだ数が少ない中、静岡の自然環境を活用した教育の場を広げようという動きが始まっています。
静岡市清水区の野山で活動する「森のようちえん」の「野外保育ゆたか」です。2015年に開園し、現在、2歳から5歳までの24人が通っています。
<当番の男の子>
「朝の会を始めます」
園には、固定の時間割はなく、子どもたちが対話しながらその日の活動を決めます。
「さーやと一緒に木登りごっこしたいです」
「いいね」
また、園舎はなく雨の日も、風の日も四季折々の自然を生かした体験活動をします。さらに、遊具を置かず子どもたち自身が工夫して自由に遊ぶことで個性や感性を育むことを大切にしています。
<野外保育ゆたか 京井麻由理事長>
「人と人、人と自然が近い場として運営しているという形です。こちらが特別なことをしなくても、自然の中に身を置くだけで遊び出しますし、お友達と協力するみたいなところも自然に出てきます」
幼少期の自然体験の重要性が高まる一方、課題もあります。「野外保育ゆたか」は、認可外施設のため、運営に対する公的な補助が少ないのが現状です。また、家庭によっては一定の要件を満たさないと保育無償化の対象から外れる場合もあります。
<園児の保護者 前嶋光さん>
「無償化の対象になる家庭と対象外になる家庭があって、経済的な理由で入園を諦めざるを得ない状況にある。選びたくても選べない家庭があるところにやっぱり大きな疑問を感じたのが1番最初」
園児の保護者たちは静岡市の難波市長を訪ね、自然を生かした教育の場の充実と平等な無償化制度の実施を要望しました。
<静岡市 難波喬司市長>
「元々自分自身がこういう自然の中で、それが色々な自然への物の見方とか、そういう所につながっていると思っていますので、多様な学び方とか多様な育ち方というのは非常に大事じゃないかなと思っているので、ぜひ応援はしていきたい」
難波市長は自然保育を前向きに捉える一方で、国の制度上、改革にハードルが高い部分もあるとの見解も示しました。
<園児の保護者 前嶋光さん>
「細かいところもしっかり資料も見てくださって、すごく誠実なお答えを頂いたと感じております」
静岡の自然を活用した学びの場を広げることは、移住希望者へのアピールにもつながる可能性があります。
<野外保育ゆたか 京井麻由理事長>
「より多くの子たちが静岡の自然の中で遊ぶということを小さいうちにぜひ味わってほしい」