全国高校総体の出場を逃した男子サッカーの強豪校が集う“裏インターハイ”「コネクティングコミュニティ杯」の第2回大会が8月3日までの5日間、静岡県磐田市を拠点に開催された。初日に津波警報が出されるなど想定外のことが起きた中で、主催者はどう対応したのか。大久保翔悟実行委員長(磐田西高教諭、37歳)に話を聞いた。
大会は全国32チームが参加し、2日間で予選リーグ、3日間で順位決定トーナメントを実施。決勝は神戸弘陵がPK戦で鹿児島を下して優勝した。
実行委員長・一問一答
ー2回目となった大会を振り返って。初開催した昨年は試合会場が4か所と少なく、選手がグラウンドに長く滞在しなければいけなかったことと、宿舎とグラウンドの距離が遠かったという2つの大きな課題が出ました。今年はB戦会場まで含めると、オール天然芝で9会場用意することができたので、グラウンドの滞在時間を少なくすることができました。また、旅行会社を通して事前にできるだけ近くの宿舎を20か所以上確保してもらいました。
ー津波警報の対応はどうしたのですか?
市役所の方とすぐに連絡を取りました。津波注意報の時点で「グラウンドは使えますか」と確認をしていたら、その間に津波警報に変わった。海に近い1つの会場は使えなくなってしまったのですが、初日だったこともあって1試合目は昼過ぎスタートの予定でした。まだ午前9時半前だったので、予定していた試合を別の会場に飛ばして、午前11時には会場や試合時間を組み替えた新しい日程を全チームに送ることができました。
前泊していたチームも多く、海からちょっと離れた場所で待機をしてくれていたので、そこから新しい会場に移動してもらいました。
また平日開催だったので、審判員は消防の方がやってくれる会場が多かったのですが、津波警報で消防の方は出勤になってしまったということもありました。同じ会場の審判員が2試合担当するなどして対応していただきました。
その日、自分は140件ぐらいの電話と、300件ぐらいのLINEのやり取りがあってバタバタしましたが、結果的にB戦が1試合なくなっただけでほかの試合は予定より15分遅らせただけで乗り切ることができました。
ー今回浮かび上がった課題は?
チームの参加費を安価にしたくて、協賛企業を募ったり、クラウドファンディングをやったりしたのですが、今年も運営側の負担がかなり大きくなってしまいました。
運営は磐田西高校の卒業生やユースレフェリーが手伝ってくれて、大会自体は回すことができたのですが、できればこれに地域の方やボランティアの方、磐田市の職員の方たちにも協力していただけるようになれば持続可能な大会になるのではと思っています。
今年は磐田西高を昨年卒業した、サッカーをほとんど知らない19歳のバレーボール育ちの子も会場スタッフを務めてくれました。運営マニュアルは作成してあるので、どなたでも協力していただければ大変ありがたいです。
ー参加チームの反応はどうでしたか?
すべて天然芝のグラウンドなので、熱中症やけがが少なくなることについては、今年も多くのチームの方に喜んでもらえました。
私は大会3日目〜5日目の試合の組み合わせを作る担当でしたが、宿舎によってはあまりにも早朝だと朝食を用意できないこともあります。マッチメークした後、旅行会社から宿舎にすべて確認してもらって、OKが出たらチームに組み合わせを流したり、お弁当の手配をしたり。
毎日、各チームにB戦の要望も聞いていたのですが、「けが人が出てしまったからB戦を減らしたい」とか、いろんな話を受けます。なるべくすべてお応えできるようにしていたので、大会自体は良い評価をいただけたのではと思っています。
ー今夏はCC杯のほかにも大会を開催したのですか?
はい。CC杯前後の7月24〜27日と、8月6〜9日にCC杯チャレンジカップを開催し、それぞれの大会に全国15チームが集まって昇格チームを決めました。習志野や早稲田実業、県内からは清水東や常葉大橘など強豪が名を連ねました。
ーCC杯とチャレンジカップ2大会。計3大会で何人ぐらいの選手やスタッフが磐田周辺に集まったのですか?
1600人ぐらいになりますね。
ーすごい。
サッカー王国復活に向けて、自分としては側面からお手伝いすることができれば、サッカー文化をもっと広げていきたいという思いがあります。
ー来年に向けて。
昨年は4会場しかなかったので運営スタッフはそれほど必要ありませんでしたが、今年は9会場。1会場につき大人2人以上のスタッフをできるだけ配置するようにしたので、スタッフの確保が難しかったです。110試合ある中で、審判の方々にもしっかりと謝礼を渡すこともできるようにしなければいけないと思っています。
とにかく運営組織をしっかり作らなければ。協賛企業も静岡県だけでなく、全国から募っていくことができないと大会自体が今のままだと継続困難になってしまうと懸念しています。頑張ります(笑)