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難波副知事が退任 リニア問題と土石流担当を継続

 静岡県の難波喬司副知事が5月17日、2期目の任期を満了し退任しました。リニア中央新幹線を巡るJR東海との交渉や熱海市土石流災害では陣頭指揮を執り、手腕を発揮しました。退任後も県の理事として引き続き、これらの県政課題を担当します。難波氏の今後について情報を整理します。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・吉田直人〉

2期目の任期満了 県理事に就任

 難波喬司副知事(65)が17日、2期目の任期満了を迎え、退任した。18日付で一般職任期付職員の県理事として県に採用され、引き続きリニア中央新幹線と熱海市土石流災害の二つの県政課題を担当する。

任期最終日に記者会見する難波喬司副知事=17日午後、県庁
任期最終日に記者会見する難波喬司副知事=17日午後、県庁
 任期最終日の17日は副知事として最後の会見に臨み、約2時間にわたって土石流災害を巡る県の対応などを説明した。2期8年の所感を問われ、「最後の日なので笑顔で退任したいところだが、この問題を考えると会見の場で振り返ることはしたくない」と胸の内を明かした。
 一方で「副知事と県理事の立場は全然違う」と述べ、「県理事になってからでは踏み込んだ発言ができない可能性があり、任期中に記者会見をしたいと思っていた」と語る場面もあった。
 難波氏は国土交通省大臣官房技術総括審議官などを歴任し、退職後の2014年に副知事に就任した。在任期間は県政史上最長。
 川勝平太知事は12日の定例記者会見で、リニアと土石流については副知事と同じ権限を持つと説明し、「退任後も実績豊富な経験、見識をいかんなく発揮してほしい」と述べた。県理事の任期は1年。後任の副知事人事は未定で、当面、県職員出身の出野勉副知事(69)の1人体制となる。
〈2022.05.18 あなたの静岡新聞〉

理事任期は1年、副知事と同じ権限 川勝知事が発表

 静岡県の川勝平太知事は、17日の任期満了に伴い退任する難波喬司副知事について、18日付でリニア中央新幹線と熱海市土石流災害担当の県理事に就任すると正式に発表した。任期は1年。

川勝知事
川勝知事
 難波副知事はこれまで県中央新幹線対策本部長を務め、リニア関係の諸課題について先頭に立って対応してきた。土石流についても原因究明や行政対応検証の責任者を担ってきた。
 川勝知事は県理事の立場を「リニアと土石流に関しては副知事と同じ権限」とし、「(リニアの)本部長を引き続き務め、土石流災害については専門的技術的な観点から助言役になってもらう」と述べた。
 後任の副知事については、20日開会の県議会臨時会に人事案を提出しないことを正式に表明した。6月定例会での提出を目指すとしながら「確定的なことは言えない」と人選の長期化の可能性も示唆した。
〈2022.05.13 あなたの静岡新聞〉

8年の実績、退任は「自然な流れ」 副知事は当面1人体制

 2014年から2期8年務め、5月の退任が決まった難波喬司副知事は19日(※4月)、報道陣の取材に「リニアと土石流の問題はまだ区切りがついていない。責任というか、自分のこれまでやってきたことから考えて、何らかの形で関わっていかなければいけない」と述べ、職位は変わってもこれまで陣頭指揮を執ってきたリニア水問題と熱海市土石流災害には関わる姿勢を示した。

記者団の取材に応じる難波喬司副知事=19日午後、県庁
記者団の取材に応じる難波喬司副知事=19日午後、県庁
 難波副知事は退任について川勝平太知事とまだ話をしていないとし、「人事は知事が決めること。2期目の任期が切れ、自然の流れとして受け止めている」と述べた。川勝知事が(難波氏に)何らかの形で今後も関わってもらいたい意向を持っていると出野勉副知事から聞いているとし、県に残ることは「知事と自分の両方の希望」とした。
 2000年以降の副知事の在籍期間は5年8カ月の鈴木雅近氏が最長で、異例ともいえる2期8年を務めた難波氏の退任は既定路線といえる。ただ、国土交通省の元技官で土木工学の専門家でもある難波氏は、リニア水問題でのJR東海との交渉や熱海市土石流災害での原因究明などに取り組んできた実績から、県幹部は「あの仕事ができるのは難波副知事しかいない」と言い切る。関係者によると、難波氏からポスト等の要求はなく、県に残ることを承諾したという。
 一方、副知事の後任人事は難航している。1人体制となれば、総務省出身の大村慎一氏が同省に帰任し、岩瀬洋一郎氏が3カ月間1人で務めた11年度以来となる。県の人事を巡っては、川勝知事が「副知事級」と評していた篠原清志特別補佐・戦略監が県議会の意向で3月末に退任したばかり。難波氏の後任が不在となれば、危機管理を含め、一時的に県の組織体制が脆弱(ぜいじゃく)になる恐れがある。
〈2022.04.20 あなたの静岡新聞〉
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