⚽清水エスパルス 前線4人の活躍ピックアップ
J1清水が課題となっていた得点力で結果を出しています。5月3日の湘南戦で今季最多の4ゴールを記録し、直近2試合で計6得点。特に、攻撃面での貢献が求められる2トップと両サイドMFの前線4人がそろってゴールを挙げています。湘南戦を振り返るとともに、4人の活躍をピックアップしてお伝えします。
〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・吉田直人〉
前線4人 直近2戦6得点、得点力に明るい兆し
J1清水の得点力に明るい兆しが見えてきた。3日の湘南戦で今季最多の4ゴールを記録し、直近2試合で計6得点。特に、攻撃面での貢献が求められる2トップと両サイドMFの前線4人がそろってゴールを挙げているのは好材料だ。
第10節広島戦ではFWチアゴサンタナに今季初を含む2ゴールが生まれた。開幕前のけがで出遅れたが、ルヴァン杯などで実戦を重ねてこの試合がリーグ初先発。「得点だけでなく動きも良かった」と見せ場をつくり、昨季のチーム得点王が本調子に戻りつつあることを感じさせた。
湘南戦はチアゴサンタナと最前線でコンビを組む鈴木唯と、白崎、中山の両サイドハーフがネットを揺らした。個々の持ち味を生かし、カウンター、ボールを動かしながらの崩しと、異なる攻めの形で仕留めた。
セットプレーの好機をものにできたことも大きい。湘南戦の2、4得点目はCKから。リーグ戦はここまで第7節浦和戦での1点のみと生かし切れていなかったが、「篠田ヘッドコーチと相手の空くポジションを分析しながら、狙い通りにできた」(平岡監督)と結実させた。
取るべき選手が結果を残し、得点パターンも広がってきた。次戦(7日)でぶつかるのは昨季王者の川崎。リーグ屈指の攻守の安定感を誇る相手に、真価が試される。
〈2022.05.05 あなたの静岡新聞〉
■チアゴサンタナ 広島戦で今季初含む2得点
清水のFWチアゴサンタナが今季初ゴールを含む2得点を挙げた。勝利にはつながらなかったものの、チームにとっては点取り屋の待望の「お目覚め」となった。
前半20分の先制点は「練習からやっている形。良いボールが来た」と左クロスに逆サイドで反応し、抜け出して頭で沈めた。後半25分にはゴール前のこぼれ球を左足で冷静に仕留めた。
来日2年目で1試合2得点は初めて。昨季のチーム得点王は「3、4回好機があった。もっと決められるように」とさらなる活躍を見据えた。
〈2022.04.30 あなたの静岡新聞から抜粋〉
9戦ぶり白星の湘南戦を振り返り
明治安田J1リーグは3日、各地で第11節の6試合が行われ、清水は4-1で湘南に快勝し、9試合ぶりの勝利を挙げた。
【評】清水は攻撃がかみ合い、湘南に快勝した。
序盤は湘南の出足の良さに苦しんだが、前半32分にカウンターから中山が仕留めて先制。4分後に右CKから鈴木唯が味方のシュートのこぼれ球を蹴り込んで加点すると、2分後にも白崎が右クロスを合わせて3点のリードで折り返した。
後半5分にクロスから1点を失ったが、14分に左CKから鈴木義が詰めて4点目。相手の反撃は体を張った守りで耐え切った。
■鈴木唯 3得点に絡む活躍
白星から遠ざかっていた鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、清水がゴールラッシュで今季最多の4得点。9試合ぶりの歓喜で、長いトンネルを抜け出した。敵地に詰め掛けたサポーターの元に足を運び、イレブンとともに頭を下げた平岡監督は「勝利で恩返しできてうれしく思う」と一息ついた。
前半だけで3ゴール。けん引役は全てに絡んだMF鈴木唯だ。32分、自陣中央でパスを受けると、相手のマークを力強くはねのけて右を駆け上がるMF中山に絶妙のスルーパス。湘南の勢いに押され気味の展開の中で、味方を勇気づける先制点をお膳立てした。
4分後、今度は主役に。CKから「こぼれてくるのは去年から多かったので意識していた」と相手GKがはじいた球を蹴り込んだ。さらに2分後、右サイドを抜け出して正確なクロスを通し、3得点目をアシストした。
引き分けが続いた直近の4試合は決して悪い内容でなかった。ただ、得点機を逃したことで白星をつかみ損ねた試合もあった。「(勝因は)追加点を取れたこと。全体を通して良い感触がつかめた試合になった」。背番号23の輝きがチームを勝ち点3に近づけた。
同じく低迷する湘南との直接対決で、「自分たちで現状を変えるしかない」(白崎)と強い決意で臨んだ試合だった。「(勝った)次が大事」とDF鈴木義。浮かれることなく、中3日で迎える川崎戦を見据えた。
〈2022.05.04 あなたの静岡新聞から抜粋〉
サイドハーフの白崎 4年ぶりの清水復帰「チーム引っ張る」
J1清水に4年ぶりに復帰したMF白崎がチーム内で存在感を高めている。平均年齢24・9歳の今季のチーム編成で、28歳の白崎は中堅。「自分がチームを引っ張る意識」と責任感を身にまとい、ピッチ内外で振る舞っている。
お手本としてイメージするのは、2011~12年に清水に在籍した小林大悟。「若手が自信をつけるような助言もくれたし、厳しいことも要求された。そして普段はフランクに接してくれる。そういった存在になれれば」
もちろん、プレーでも示してこそと理解している。鹿島と鳥栖で過ごした3年間でJ1リーグ63試合に出場して10得点。満足できる数字ではないが、「けがをしていない時はほとんど試合に絡んでいた」という自負もある。離脱せずにピッチに立ち続けることを一番の目標に据える。
練習ではボランチに入る。「ボールに多く触れられてリズムをつくりやすいし、(前線への)飛び出しの良さも出る」という得意のポジション。一度飛び出した古巣に戻るという大きな決断をしたプロ11年目のシーズンで、「もう一度自分の力を発揮する」と強い覚悟を示す。
〈2022.02.01 あなたの静岡新聞から抜粋〉
■湘南戦では今季初ゴール
清水のMF白崎が今季初ゴールを挙げた(※湘南戦)。前半38分、味方の右サイドの突破に反応してペナルティーエリア内に進入。「良いボールが来たのでしっかり当てた」シュートは相手GKを強襲してネットに吸い込まれた。
前節広島戦から左サイドハーフで出場。これまで主戦場だったボランチでのプレーの中で「ゴール前の枚数が足りない」と感じていたという。積極的に前線に関わる意識を体現し、結実させた。
今季、4年ぶりに清水に復帰。「チームを勝利に導くようなプレーをしないと、と意識していた。目に見える結果を出せたのは良かった」と安堵(あんど)した。
〈2022.05.04 あなたの静岡新聞から抜粋〉
湘南戦で先制点の中山 サイドハーフ争いでは猛アピール
J1清水の中盤両サイドの定位置争いが熱を帯び始めている。27日(※3月)のエリートリーグ名古屋戦でけがから復帰のMF西沢が今季初実戦に臨み、主力に定着しきれていないMF中山は2得点で猛アピール。26日(※3月)のルヴァン杯広島戦ではDFが本職の片山の右サイドハーフ起用で攻撃が機能したこともあり、競争に拍車がかかっている。
中山は右サイドハーフで45分間プレーし、2ゴール1アシスト。リーグ前節神戸戦では2試合ぶりに先発したが、絶好機を外していた。結果を残し、「落ち着いて打てば自分も(ゴールを)狙えると改めて感じることができた」と自信を得る機会となった。
ルヴァン杯広島戦でこれまでの左サイドバックから右サイドハーフに位置を変えた片山は、後方からの配球を味方につなぐ起点となり、効果を発揮。左で公式戦2試合連続先発中のFW後藤は守備での貢献が光る。
今季の4-4-2のシステムで、左右のサイドハーフの役割は攻守両面で多い。多彩な顔触れのアピール合戦が、チームの反転攻勢の起爆剤となるか。
〈2022.03.31 あなたの静岡新聞〉