知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

⚽藤枝MYFC 15周年の節目にJ1昇格へ 2024年、注目ルーキーピックアップ

 2月23日に開幕が迫るサッカーJリーグ。藤枝MYFCは、昨季の主力に10人の新戦力が加わりました。超攻撃的スタイルに磨きをかけ、クラブ15周年、藤枝市制70周年、サッカーのまち100周年の節目にJ1昇格を目指します。今年のチームの特徴についてまとめました。
⇒J2清水・藤枝試合日程(第1節~最終節)
⇒藤枝MYFCの記事一覧

主力残り新加入10人、J1昇格へ「武器に」

 J2昇格2年目を迎える藤枝は1月8日、藤枝総合運動公園サッカー場で新体制発表会見を開いた。新加入選手10人の顔ぶれを見ながら就任4年目の須藤大輔監督は「J1に行くチーム編成ができた。既存選手と熾烈(しれつ)な争いになる」と今季を展望した。

J2藤枝に新加入した(前列左から)浅倉、シマブク、永田、梶川(後列左から)前田、芹生、内山、中島、カルリーニョス=藤枝総合運動公園サッカー場
J2藤枝に新加入した(前列左から)浅倉、シマブク、永田、梶川(後列左から)前田、芹生、内山、中島、カルリーニョス=藤枝総合運動公園サッカー場
 昨季は昇格プレーオフ圏(6位以内)を狙いながら12位。夏場に主力2選手がJ1移籍した後は8戦勝ちなしと苦境に陥ったが、終盤立て直し残留を決めた。シーズン後は昨季背番号10のMF横山が千葉に移籍したが、ほかの主力は残留。大迫希強化担当は「主軸が多く残って継続性の強みがあり、さらに特長を持った選手が来て新たな武器を得た」と自信を示した。
 決定力で注目を集めるのは、J1札幌、名古屋を経て加入したU―21(21歳以下)代表歴を持つFW中島。髪を藤色に染め、「今後の人生を変えるため、ここに来た。得点王を取る」と誓う。静岡学園高の全国選手権優勝メンバーで昨季特別指定でJデビューを果たしたMF浅倉(拓大)も今季は背番号8を付け、「得点とアシストとも2桁に乗せたい」と数字にこだわる。
 今季は藤枝市が市制70周年とサッカーのまち100周年で、クラブも15周年と節目を迎える。徳田航介社長は「ボールを保持する攻撃的なサッカーを貫くとともに、勝利という結果も求め、地域に明るい話題を届けたい」と決意を示した。
(運動部・寺田拓馬)
守備強化へ守護神・内山復帰 ブラジル人DF2人も補強
 超攻撃的サッカーを掲げ、昨季の得点数はリーグ6位タイだったが、失点数はリーグワースト。J1昇格を実現するためには守備の強化が必須条件になる。
 GKには2022年にJ3ベストイレブンに輝きJ2昇格に貢献した内山がJ1鳥栖から復帰。大卒2年目の北村との守護神争いを見据え、「流れが悪くなっても最少失点で抑え、無失点の試合を増やしたい」と意気込む。「GKはボランチ」と明言する須藤戦術で、内山の左足の正確なキックから攻撃の組み立てが安定すれば、自陣深くでのパスミスも減るはずだ。
 新たに加わるブラジル人DFのカルリーニョスとウエンデルはともに身長190センチ。指揮官は「ビルドアップで圧力を受けても回避できる足元の技術が一番のポイント」と選考基準を説明した上で、「セットプレーの攻守などで空中戦も優位に立てる」と期待を寄せる。
新加入選手のコメント
 MF浅倉(拓大、静岡学園高出) 狭いスペースでパスを受け、ターンしてドリブルでゴールを狙う。得点とアシストでチームを勝利に導く。
 MFシマブク(新潟) 自分は明るい性格。ドリブルと運動量、裏への抜けだしでゴールに向かう姿勢を見てほしい。
 MF梶川(東京V) (34歳で)最年長としてピッチ内外で貢献したい。運動量を武器に、かゆいところに手が届く働きをする。
 MF永田(中京大) スピードと走力が自分の特長で、目に見える結果を出したい。どこでも寝ることができるのも長所。
 MF前田(常葉大、清水桜が丘高出 藤枝市出身なので地元を盛り上げたい。スピードあるドリブルからパンチのあるシュートを打つ。
 DFカルリーニョス(ボタフォゴSP ヘディングの強さとスピード、パス出しに自信がある。失点を減らし、J1昇格を実現させたい。
 MF芹生(鹿児島城西高) どんな状況でも冷静にプレーできるのが自分の強み。最年少だが、勢いを持ったプレーがしたい。
 GK内山(鳥栖) 須藤監督が目指す究極のエンタメサッカーを実現する一つのピースになりたい。フットプレーで勝負する。
 FW中島(札幌) 速い、強い、高い。誰でもわかるプレーで観客を魅了したい。伸び代もある。チームと一緒にのし上がる。
 ★DFウエンデル(アソシアソン・ポルトゥゲーザ・ジ・デスポルトス)は合流前で会見を欠席。
 ※()内は前所属。
【2024年 藤枝メンバー】
※数字は背番号。●付きは新加入。
1 GK 岡西 宏祐
2 DF 川島 將
3 DF 鈴木 翔太
4 DF 中川 創
5 DF 小笠原 佳祐
6 MF 新井 泰貴
7 MF 水野 泰輔
8 MF 浅倉 廉
9 FW 矢村 健
10 MF 榎本 啓吾
11 FW アンデルソン
13 MF 大曽根 広汰
14 FW 中川 風希
15 MF 杉田 真彦
16 DF 山原 康太郎
17 FW 平尾 拳士朗
18 MF 小関 陽星
●19 MF シマブク カズヨシ
21 GK 菅原 大道
22 DF 久富 良輔
●23 MF 梶川 諒太
●24 MF 永田 貫太
26 MF 西矢 健人
●27 MF 前田 翔茉
●29 DF カルリーニョス
●30 MF 芹生 海翔
33 MF 河上 将平
●35 GK 内山 圭
41 GK 北村 海 チディ
●81 FW中島 大嘉
●99 DFウエンデル

2024年 藤枝スタッフ
 監督 須藤大輔▽ヘッドコーチ 仲田建二▽コーチ 養父雄仁、枝村匠馬▽GKコーチ 阿部謙作フィジカルコーチ 井田征次郎▽テクニカルコーチ 清家芳樹▽コーチ兼通訳 ジュリオ▽チーフトレーナー 秋山良範▽トレーナー 江本賢吾、鈴木一正▽主務 青山真也▽副務 和田伊吹

〈あなたの静岡新聞 2024.1.9〉

【ルーキー紹介①】MF浅倉廉 背番号8の期待背負う

 大卒1年目でいきなり背番号8。静岡学園高で全国選手権制覇を果たしたテクニシャンにかかる期待は大きく「8は好きな番号。責任を持ってプレーしたい」と自覚する。

MF 浅倉廉
MF 浅倉廉
 昨季は特別指定選手で5試合に出場したが、「全体的に強度が足りないと実感した。アシスト、得点で結果を残さないと認められない」と振り返る。
 オフから筋トレに励み「相手に触られない立ち位置を取るのが理想だが、当たっても倒れない強さがないと」と体のキレを高める。
 チームとしても昨季の背番号10で千葉に移籍した横山の穴をどう埋めるかが大きな課題。「シャドーストライカーで勝負したいがボランチにも挑戦し、複数ポジションをこなせるようになりたい」と意欲を燃やす。
 技術とスピードは折り紙付き。あとは周りの選手の生かし方を覚えプレーの幅を広げれば、レギュラーが見える。ゴールアシストとも2桁を目標に掲げ「まずは開幕スタメンを狙う」と宣言する。
〈あなたの静岡新聞 2024.2.8〉

【ルーキー紹介②】MF永田寛太 “藤次郎2世”が切り裂く

 縦への突破を武器に目標とする先輩の背中を追い越せるか。「守備のウイークを埋め長所を生かし、進化したい」。左WBで自分の居場所をつくろうと、猛アピールを続ける。

MF 永田寛太
MF 永田寛太
 藤枝で大卒1年目から主軸で活躍し、昨季途中J1名古屋に移籍した久保藤次郎が中京大の2学年上。昨季から強化指定選手で14試合に出場したが、「ミスが多く、何一つ結果を残せなかった」と厳しく自己評価する。
 今季はゴールとアシストを狙う。鹿児島での練習試合でいわき戦は同点弾をお膳立てし、九州リーグ都農戦で得点を決めた。「ボールの受け方で相手プレスを回避できる。見える景色が変わりつつある」と自信を示す。
 左WBでレギュラーを張るのは背番号10の榎本。「高い壁だが、高いほど乗り越えようとして成長できる」と決意を固めている。
 縦突破だけじゃなく中に切れ込みシュートを狙うなどプレーに変化を付けようと模索中。「5ゴール5アシストを挙げる」と誓う。
〈あなたの静岡新聞 2024.2.9〉

【ルーキー紹介③】MF前田翔茉 スピード自慢の“純県勢”

 スピード自慢が生まれ故郷で才能を開花させるか。「応援してくれる人を勇気づけるプレーがしたい」。“純県勢”の誇りを胸に右WBで定位置を狙う。

MF 前田翔茉
MF 前田翔茉
 藤枝市出身で清水桜が丘高から常葉大に進んだ。本拠地の藤枝総合公園サッカー場は「思い出が詰まった場所で、バックスタンドの完成は感慨深い」。右サイドを駆け上がり観客を沸かせるイメージを膨らませる。
 ドリブル突破からの威力あるシュート、クロスが武器だが、課題は運動量。今季始動から全体練習後に30分間走り込んで持久力アップを図り、九州リーグ都農との練習試合でプロ初得点を挙げた。「運動量の上に自分の特長を出さないとこの世界でやっていけない」と足元を見つめる。
 守備の強度、攻撃の質、レギュラー奪取に向けやるべきことは山積みだが、「周りからの厳しい指摘で落ち込むこともあるが、『ありがたい』と受け止めている」。真摯(しんし)で前向きな性格で日々精進を重ねる。
〈あなたの静岡新聞 2024.2.10〉
地域再生大賞