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⚽清水エスパルス J1昇格ならず 激動シーズンを振り返る

 「無念!」の一言しかありません。清水エスパルスは残念ながら、J1昇格を逃しました。総力戦で臨んだ東京Vとのプレーオフ(PO)決勝は、先制するも後半終了間際に追いつかれ、まさかの引き分け。年間順位上位の東京Vが昇格することになりました。激動だった今シーズン。まずは選手の皆さんもサポーターの皆さんも、お疲れ様でした。悔しさはまだまだ消えませんが「次へ!」の思いも込めて、今季を少し振り返ります。

【速報】清水エスパルスがJ1昇格逃す プレーオフ決勝で引き分け

 サッカーのJリーグ1部(J1)昇格プレーオフ決勝が2日、東京都の国立競技場で行われ、J2リーグ4位の清水エスパルスは同3位の東京ヴェルディに1ー1で引き分けたが、年間順位上位が勝者となる規定でJ1昇格を逃した。

清水─東京V 後半、先制のPKを決めた清水のチアゴサンタナに集う選手たち=国立競技場
清水─東京V 後半、先制のPKを決めた清水のチアゴサンタナに集う選手たち=国立競技場

今季の順位変動をおさらい

秋葉新体制で急上昇 リーグ3分の1終了時、総得点トップに

いわき戦で先制ゴールを挙げ、喜びを表す乾(右から2人目)ら。監督交代により攻撃力が清水の武器となってきた=7日、アイスタ日本平
いわき戦で先制ゴールを挙げ、喜びを表す乾(右から2人目)ら。監督交代により攻撃力が清水の武器となってきた=7日、アイスタ日本平
 ※2023年5月11日 あなたの静岡新聞から
 J2清水は7日のいわき戦でリーグ戦の3分の1となる14試合を消化した。開幕からクラブワースト記録の7戦未勝利と大きく出遅れたが、監督交代を経て巻き返しに転じ、7戦負けなしで7位まで上昇。総得点はリーグトップで、攻撃力がチームの明確な武器となってきた。
 白星が遠かったリカルド前監督体制では得点力に悩んでいた。開幕から2戦連続のスコアレスドローに始まり、7試合でわずか4得点。ボール保持はできても連動性に乏しく、単調な攻撃が目立った。
 後任を託された秋葉監督はテンポの良い攻めをもたらす距離感の改善に努め、「超攻撃的」と目指す戦い方もはっきりと打ち出した。選手個々の特徴や能力が生かされ始め、指揮を執ってからの7試合で計24ゴール。得点者は12人に及び、得点パターンの多彩さを物語っている。
 前体制では出番の限られていたベテランのMF乾を攻撃の中心に据える起用もはまっている。元日本代表アタッカーは類いまれなセンスを存分に発揮。「心がけている」という攻撃の起点となるプレーに加え、3試合で先制弾を挙げる決定力でも存在感が際立つ。
 7節終了時点では勝ち点5とJ1復帰に黄信号がともる状況だったが、その後の7試合で17ポイントを上積み。2位でJ1昇格をつかんだ2016年の14節時点の勝ち点19を上回った。ただ、「勝ちまくる」と息巻く指揮官を筆頭にチームに慢心はなく、さらなる浮上を期している。

攻守支えたブラジル人「助っ人」⚽チアゴ、カルリーニョス、ホナウド

清水ブラジル人トリオ・(左から)カルリーニョス、チアゴサンタナ、ホナウド
清水ブラジル人トリオ・(左から)カルリーニョス、チアゴサンタナ、ホナウド
※2023年11月23日 あなたの静岡新聞から
 25日からJ1昇格POが始まる。J2清水は同日午後1時、アイスタ日本平で山形と対戦する。勝利すれば12月2日、大一番のPO決勝に進む。
 J2清水のFWチアゴサンタナ(30)、FWカルリーニョスジュニオ(29)、MFホナウド(27)のブラジル人トリオが、昇格POに回ったチームを救う。今季、主力として攻守を支えてきた3人。残り2試合も“助っ人”の本領を発揮し、J1復帰の道を開く。
攻守でブラジルトリオ 残り2戦も全力  今季の3人の貢献は光っている。42試合制のJ2リーグで、出場試合数はホナウドの39を筆頭に、チアゴサンタナ38、カルリーニョス36とフル稼働。特に勝負どころの終盤戦は不動のレギュラーとして先発に名を連ね続けた。
 昨季J1得点王のチアゴサンタナは、今季も12得点と2桁に乗せた。「勝利が一番」とチーム本位のプレーを貫くが、ストライカーの何よりの活力はゴール。リーグ戦を2戦連発で締めくくった背番号9は好感触を保って決戦に向かう。
 中盤左サイドが定位置のカルリーニョスはチーム最多の15ゴールで加入初年度の2020年以来となる2桁得点に達した。主導権を握る試合が多い中、「ゴールに近い位置でプレーできている」と得点感覚を研ぎ澄ませてきた成果が出ている。
 ホナウドは中盤のつぶし役として、チームで3番目に多い出場試合数とプレー時間を記録した。昨季まで痛みに悩まされた腰の状態も良く、本人にとって充実のシーズンになっている。今月初旬には左手甲を骨折したが、回復に向かい不安はない。「まだ2試合ある。どうにか昇格できれば。チームが良くなることを考えている」と献身的な姿勢を崩さない。
 J1だった昨季のリーグ最終戦。3人はそろって先発したものの、力及ばずJ2降格が決まった。チアゴサンタナは試合終了の笛の音とともにピッチに崩れ落ち、涙した。あれから1年。悲嘆を歓喜に変える戦いに、再度挑む。
 (市川淳一朗)
 チアゴサンタナ 1993年2月4日生まれ。ポルトガル1部サンタクララから2021年に清水に加入し、3季連続の2桁得点を記録中。J1、J2通算102試合39得点。

 ホナウド 1996年10月23日生まれ。ブラジル1部フラメンゴから2021年夏に清水に加入。J1、J2通算69試合1得点。

 カルリーニョスジュニオ 1994年8月8日生まれ。スイス1部ルガーノから2020年に清水に加入。1年目にJ1リーグで10ゴールを記録。J1、J2通算108試合30得点。
地域再生大賞