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⚽清水エスパルス 名門復活へ正念場 2024年、注目ルーキーピックアップ

 2月23日に開幕が迫るサッカーJリーグ。J2清水エスパルスは、復権目指すクラブの行く末を占う大事な1年を迎えます。クラブは続投を決めた秋葉監督を支える体制に力を注ぎ、また、秋葉監督の意向を反映する形で新たに加わった顔ぶれも注目されます。今年のチームの特徴についてまとめました。
⇒J2清水・藤枝試合日程(第1節~最終節)
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「優勝しJ1昇格」秋葉体制の強化に注力 復権へ試される覚悟

 J2清水は1月5日、アイスタ日本平で新体制発表会見を開いた。昨季、J1復帰をあと一歩で逃して迎えるJ2での2季目。山室社長は「リーグ優勝を目指して戦っていく」と昇格を目標に掲げた。

清水で活躍を誓う(前列左から)松崎、中村、矢島、住吉と(後列左から)高木、沖、蓮川、猪越=アイスタ日本平(写真部・小糸恵介)
清水で活躍を誓う(前列左から)松崎、中村、矢島、住吉と(後列左から)高木、沖、蓮川、猪越=アイスタ日本平(写真部・小糸恵介)
 今季のスローガンは「ONE FAMILY(ワンファミリー)」。クラブに関わる全ての人たちの総力で「もっと強く、もっとしたたかに勝利をつかみ取るチームになる」との思いを込めた。
 昨年4月からチームを率いる秋葉監督が今季も指揮を執る。昨季は昇格を果たせなかったものの、総得点、失点の少なさはともにリーグ2位と攻守で一定の数字を残した。指揮官は「超攻撃的、超アグレッシブ」な戦い方を継続する考えを示した上で、「より走れるチームにし、攻守に躍動感のあるフットボールに」と展望を語る。
 再びJ2を戦いの場とすることが決まり、オフにはDF鈴木、MF中山、MFホナウドといった昨季の主力がクラブを離れた。穴を埋める補強には、秋葉監督の意向を反映。目指すサッカーに沿った特徴的な売りを持つ選手を加え、「(クラブが)最高の準備をしてくれた」と指揮官もうなずく。
 昨年末、昇格を逃した責任を取る形で大熊清ゼネラルマネジャー(GM)が退任。山室社長は「当面はGM職を置かない予定」とし、内藤直樹強化部長を編成トップとしたフロントの体制で臨む。内藤部長を支える副部長には、高木純平(41)、兵働昭弘(41)のクラブOBの2氏を置くことを明らかにした。
 チームは9日に始動する。契約更新に至っていないFWチアゴサンタナ、FWカルリーニョスの2選手についてはクラブが交渉を進めている。

新加入選手の一言  GK沖(鹿島) このチームで結果を残したい思いがある。他の選手たちと勝負してポジションをつかみ取りたい
 GK猪越(中大) セービングに加えて足元の技術も武器だと思っている。大学で学んだことを発揮してチームの勝利に貢献したい
 DF住吉(広島) 対人守備や体の強さ、スピードが自分の持ち味。このクラブが昨季経験した悔しさを自分たちが晴らすため戦う
 DF蓮川(FC東京) 清水はJ1にいるべきチーム。身体能力を生かしたプレーが特徴なので、自分が出せる力を発揮したい
 DF高木(阪南大) 特別指定選手として出場した昨季の経験を生かして試合に絡み、チームを勝利に導けるようにしたい
 MF中村(鹿島) 偉大なクラブに加入させてもらったのでプレーするのが楽しみ。鹿島での悔しい経験をこのクラブに還元したい
 MF松崎(浦和) プレーで皆さんをわくわくさせることができれば。チームが苦しい時に局面を変えることができると思う
 MF矢島(山口) ゴール前でのパスやシュートが自分の特徴。シーズンを通してけがをしないことと、J1昇格を目標にしたい
※FW郡司(市船橋高)は全国高校選手権出場中のため欠席

【2024年清水メンバー】
数字は背番号。☆は新加入。★は期限付き移籍からの復帰。12はサポーター番号。※は契約交渉中
☆1GK 沖  悠哉
3DF 高橋 祐治
☆4DF 蓮川 壮大
5DF 北爪 健吾
※9FW チアゴサンタナ
※10FW カルリーニョスジュニオ
13MF 宮本 航汰
14DF 山原 怜音
16MF 西沢 健太
★17FW 川本 梨誉
18FW 加藤 拓己
☆19MF 松崎  快
20GK 阿部 諒弥
☆21MF 矢島 慎也
22DF 監物 拓歩
23FW 北川 航也
★25MF 成岡 輝瑠
☆27FW 郡司 璃来
28DF 吉田  豊
★30FW 千葉 寛汰
31GK 梅田 透吾
☆32DF 高木  践
33MF 乾  貴士
37FW 森重 陽介
★39MF 川谷  凪
41MF 白崎 凌兵
☆51GK 猪越 優惟
57GK 権田 修一
☆66DF 住吉 ジェラニレショーン
70MF 原  輝綺
☆71MF 中村亮太朗
83DF 菊地 脩太

【2024年 清水スタッフ】
 【トップ】監督 秋葉忠宏▽コーチ 依田光正、市川大祐▽プレーヤーデベロップメントコーチ 中田一三▽GKコーチ 古川昌明、土屋明大▽フィジカルコーチ 古辺考功、新田涼▽コーチ兼分析 栗山友文、佐藤亮佑▽分析 竹内智基▽チーフドクター 土井光人▽チーフトレーナー 中山貴幸▽理学療法士 木村マルコストシフミ▽トレーナー 前沢龍一郎、加藤智崇▽アスレチックトレーナー 志村稜平▽通訳 上原ルイス(ポルトガル語)、太倉坐ドゥグラス▽主務 松永格▽副務兼用具担当 西山敬大、石原和真
 【ユース】監督 沢登正朗▽コーチ 横山貴之、山本真希▽GKコーチ 川北裕介
 【ジュニアユース】U―15監督 岩下潤▽U―14監督 鈴木隼人▽U―13監督 渡辺誠▽GKコーチ 掛川誠▽アシスタントコーチ 福王忠世▽三島U―15監督 加藤慎一郎▽三島U―14監督 辻本茂樹▽三島GKコーチ 瀧川翔
 【ジュニア】U―12清水 太田貴光(U―12監督)、村井一俊(U―11監督)▽U―12三島 新村泰彦(U―12監督)、古賀正人(U―11監督)、関谷洋平(U―10監督)
 【アカデミー】フィジカルコンディショニングコーチ 斎藤佳久、渡辺博哉、小山大貴▽トレーナー 若松昌典▽SS静岡U―15監督 江端真一▽アカデミーヘッドオブコーチング 平岡宏章
 ※ジュニアユース三島のU―13監督とアシスタントコーチ、ジュニア清水のU―10監督は調整中。
〈あなたの静岡新聞 2024.1.6〉

【ルーキー紹介①】FW郡司璃来 全国高校選手権得点王 際立つ勝負強さ

 全国高校選手権で輝きを放ったストライカーが、J2清水でプロの第一歩を刻む。市船橋高(千葉)から加入したFW郡司璃来(18)は選手権得点王の看板を引っ提げ、「早く試合に出てチームに貢献できるように」と1年目からの活躍を誓う。

1年目からの活躍を誓う清水の郡司=三保グラウンド
1年目からの活躍を誓う清水の郡司=三保グラウンド
 得点感覚に優れた点取り屋だ。身長176センチと大柄ではないものの、駆け引きの巧みさやスピード、足元の技術でネットを揺らす。1月の練習試合では頭で2発たたき込むなど、多彩なゴールパターンを誇る。
 市船橋高で1年から出場機会をつかみ、2年ですでに名門の10番を背負った。最終学年ではチームを総体、選手権と全国の舞台に導いた。5ゴールを挙げた選手権は、相手のマークが厳しくなる中で少ない好機をものにする勝負強さが際立った。
 順調に歩みを進めてきた裏では、努力の日々もあった。3年に入り、「物足りない。もっと点を決めないと」とシュート練習を増やした。ひたむきにボールを蹴り続けた成果は、選手権や18試合12得点を記録した高校年代最高峰のU-18プレミアリーグで表れた。
 プロという新たな舞台に進み、「徐々にスピードにもついていけるようになってきた」と適応を図る毎日。MF乾ら先輩のプレーに間近で触れ、「ボールタッチや動きが参考になる」と学びも多い。海外でのプレーには今は関心を示さず、「子どもたちに応援される選手に」と将来像を描く。
 (市川淳一朗)
〈あなたの静岡新聞 2024.2.1〉

【ルーキー紹介②】DF高木践 守備力高い即戦力候補

 身長173センチの小柄な体格をものともしない守備力の高さが魅力のディフェンダーだ。球際の強さやカバリング、跳躍力を生かしたヘディングでピンチを防ぐ。すでに昨季に大学生ながら特別指定選手で公式戦4試合に出場。今季は即戦力としての期待がかかる。

DF 高木践
DF 高木践
 センターバックを主戦場としてきたが、よりレベルの高いプロでは「サイドバックで勝負したい」と定位置争いを見据える。ただ、昨年6月のリーグ第20節熊本戦ではセンターバックで先発して完封勝利に貢献。実力は証明済みだ。
 大阪・阪南大高から阪南大に進学。本人は高校時代に「プロを目指すことは全く考えなかった」と振り返るが、同大の朴成基監督は「能力がすごく高い」と目を付け、磨き上げた。見立て通り、大学3年で全日本大学選抜に名を連ねる有望株に成長した。
 昨年に大学で負った左足の肉離れで始動から別メニュー調整を続けてきたが、完全復帰は間近。「1年目から試合に出て、チームを必ずJ1に上げたい」と自覚をにじませる。
〈あなたの静岡新聞 2024.2.2〉

【ルーキー紹介③】GK猪越優惟 力強いセービング武器

 力強いセービングと足元の技術が光る守護神。GK陣が5人と多い今季は厳しい競争が待っているが、「良いところを吸収して自分のものにしていきたい」と虎視眈々(たんたん)と定位置取りを狙っている。

猪越優惟
猪越優惟
 仙台市出身。帝京長岡高(新潟)で全国選手権の4強入りに貢献し、日本高校選抜にも名を連ねた。中大では3年で主力に定着。最終学年には主将を担い、チーム状況が苦しい中で「人をどう動かすか」という貴重な学びを得た。
 身長185センチと体格で勝るGKでない分、「ジャンプ力や俊敏性を自分の武器に」と磨きをかける日々だ。キャッチング能力は他の選手たちとの差を感じ、向上に真摯(しんし)に向き合う。
 背番号は野球界の名選手だったイチロー氏が着けていた51を選んだ。「まずはこのチームで試合に出て、ゆくゆくは日本を背負うような選手に」と大志を抱く。
〈あなたの静岡新聞 2024.2.3〉
 
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