静岡県知事選 投票率の行方は? コロナ下初の全県選挙、県内首長選は低迷傾向

 任期満了に伴う静岡県知事選(20日投開票)は、無所属現職の川勝平太氏(72)と前参院議員で無所属新人の岩井茂樹氏(53)=自民推薦=による一騎打ちの選挙戦が本格化している。新型コロナウイルスの世界的大流行下で行われる初の全県選挙。大人数が密集する集会や大物弁士の来静など定番の選挙運動の一部に制約が生じ、県民の外出自粛の傾向も続く中で、投票率の行方が注目される。

知事選の投票率の推移
知事選の投票率の推移
コロナ下で行われた選挙投票
コロナ下で行われた選挙投票
知事選の投票率の推移
コロナ下で行われた選挙投票

 県選管によると、2017年の前回選の投票率は戦後19回の知事選で5番目に低い46・44%だった。前々回から3・05ポイント下がった。川勝氏が初当選した09年は投票率61・06%で、それ以降は2回連続で低下している。
 20年2月の新型コロナ感染者の県内初確認以降、県内で行われた12の市町長選の投票率は、前回が無投票だった袋井市長選(21年4月)を除くと、7市町で低下し、4市町は上昇した。9ポイント近く上昇した伊豆市長選(20年4月)が突出して投票率が伸びたほかは、同水準か下落傾向がみられ、南伊豆町長選(21年4月)は15ポイント、伊東市長選(21年5月)は9ポイント下げた。
 コロナ下の全国11都県の知事選投票率は、前回が無投票だった山形を除き、低下が6都県、上昇が4県。与野党相乗りの構図になった福岡県知事選(21年4月)は13・11ポイント下降の29・61%と3割を切り、過去最低の投票率を刻んだ。保守分裂などで注目された富山県知事選(20年10月)は25・33ポイント上昇の60・67%、岐阜県知事選(21年1月)は11・65ポイント上昇の48・04%と大幅に伸びた。
 本県の知事選は今回、自民が12年ぶりに党本部推薦の独自候補を擁立し、実質的な与野党全面対決の構図になった。秋までに行われる衆院解散総選挙の前哨戦の様相を呈している。陣営関係者からは「遊説の集まりが良く、有権者が熱心に聞いてくれている」の声が上がる。一方で、「地域により温度差がある。選挙ムードの高まりはまだこれから」(選対幹部)の見方もある。
 (政治部・杉崎素子)
 
 ■影響は限定的、盛んな政策発信を
 静岡大(政治思想) 井柳美紀教授

 国政よりも地方政治の方が有権者の関心が薄い傾向が全国的にある。身近な政治なのに、投票率が低い。有権者自身のメディアや地域との関わりを反映しているのかもしれない。特に県政は有権者と距離があるようだ。
 本県の過去の知事選は、有力な対抗馬がいるか否かに投票率が左右されてきた。接戦になると投票率が上がる。今回はリニア問題や多選など印象的な争点はあるものの、現時点では両候補の政策の違いが見えにくい。無党派層が判断に迷う可能性がある。政策の違いをはっきりさせ、有権者が1票の有効性を感じられる選挙戦になるかが投票率に影響する。
 県内首長選の投票率はコロナ下でも堅調と言っていい。期日前投票で密を回避でき、投票行動への影響は限定的だ。低下の要因は選挙戦の構図や候補者の顔ぶれ、争点などで、コロナとは別にある。
 昨年春の衆院静岡4区補選以降、県内の選挙でもSNSの活用が本格化しているが、知事選2候補の現状の発信は、遊説の告知や活動報告など、選挙に関心のある人に向けた内容にとどまる。SNSは若者を中心に情報源としての利用が広がっているので、従来型の運動が難しい今こそ、選挙に関心がない層を引きつける試みに期待したい。

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