⚽藤枝MYFC 清水エスパルスに完勝 静岡三国決戦で初白星 J2第37節
明治安田J2リーグは30日、各地で第37節の4試合が行われ、藤枝が清水に2ー0で勝利し、今季の静岡県勢対決で初白星を挙げた。
②藤枝サ(1勝1敗)▽観衆6288人
藤枝 12勝9分け15敗(45) 2(0―0 2―0)0 清水 17勝13分け7敗(64)
▽得点者【藤】矢村(5)横山(5)
【評】効果的に得点した藤枝が清水に完勝した。
開始早々から横山が切り込んでゴールを脅かすなど、藤枝が勢いよく試合に入った。相手の攻撃の圧力に耐えながら好機をうかがい、後半9分に結実。矢村の豪快なミドルシュートで先制に成功した。同25分にはバックパスした相手の隙を横山が突いて加点した。
清水は乾のパスなどで打開を図り、前半28分にはカルリーニョスが抜け出したがシュートは枠を外れた。失点後には布陣や選手を替えたが攻撃は活性化せず、無得点。15試合ぶりの黒星を喫した。
クラブ史に1ページ 藤枝、柔軟な守備で完封
藤枝―清水 後半25分、2点目を決め笑顔を見せる藤枝・横山=藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・久保田竜平)
藤枝が歴史の一ページを刻んだ。クラブ史上最多の6千人超が詰めかけ、6割以上がオレンジ色に染まったホームスタジアムで清水に完勝。磐田を含めた静岡三国決戦で初めて白星を挙げ、須藤監督は「選手とスタッフ、クラブの一体感がもたらした勝利」と誇らしげにほほ笑んだ。
夏場から再整備に取り組んだ守備が機能した。ミドルブロックを敷き中央を固めるだけではなく、機を見て攻撃陣がハイプレスを掛け、カウンターにつなげた。
前半をスコアレスでしのぐと後半9分、前線でアンデルソンがボールを奪い矢村へ。小柄なストライカーはDFをかわして豪快にゴールネットを揺らし、「昨日から得点のイメージがあった。積極的にシュートを打った結果」と振り返った。
前回0ー5で大敗した相手に隙を与えず無失点。清水ユース出身のDF鈴木は「どうしても勝ちたかった。組織的な守備が最後まで崩れず、全てプラン通り」と胸を張った。
ホーム戦勝利は5月下旬以来4カ月ぶり。8戦勝ちなしのトンネルを抜け、上位の町田、東京Vに引き分けて得た手応えが、清水戦の勝利で自信に変わった。ループシュートで追加点を決めたMF横山が「上の基準に適応できると証明できた。個人の質をさらに上げたい」と成長を誓えば、指揮官も「柔軟な守備は構築できた。高いレベルで、攻撃でパスをつなぐ作業に改めて取り組みたい」とリーグ終盤を見据えた。
(運動部・寺田拓馬)
清水、15試合ぶり黒星 攻撃ちぐはぐで無得点
藤枝―清水 後半9分、先制ゴールを許し、肩を落とす清水・GK権田(中央)ら=藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・小糸恵介)
敵地のスタンドを埋めた清水サポーターの不満げな声が、ピッチに立ち尽くすイレブンに注がれた。「情けないの一言」とMF乾。クラブ記録を更新していた連続無敗試合は14で止まり、約3カ月ぶりの黒星を喫した。
中央を固めて守る藤枝を攻めあぐねた。無得点に終わった前節甲府戦と同じような形。どう攻略するかという課題には1週間向き合ってきたはずだったが、「なかなか意図して崩せる場面がなかった。中を崩そうとして失い方も悪かった」とMF白崎。後半9分に5試合ぶりに相手に先制を許すと、25分には守備対応で隙を生み、リードを広げられた。
秋葉監督は後半27分にFWオセフンを投入し、最前線にFWチアゴサンタナと並べた。ただ、高さに優れた2トップを生かす配球はチーム全体で徹底されなかった。「(ピッチ上の)意思統一がバラバラだった」とDF吉田は省みる。
負けのなかった14試合で、終盤に2点を追う展開は初めて。焦りが足並みの乱れを生んだのか。2トップを試したのはこれが初めてではなく、乾は「もう少し選手が(状況を)理解しながらやらないと」と語気を強める。
無敗で駆け抜けてきた勢いを最終盤で止められ、首位猛追どころか、今節で2位から転落する可能性も出てきた。次節の磐田との直接対決は、自動昇格に向けてさらに重みの増す一戦となった。
(運動部・市川淳一朗)
藤枝―清水 藤枝に0―2で敗れ、肩を落として引き揚げる清水イレブン=藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・小糸恵介)