環状交差点の通行ルールが定まってまもなく10年。現状はどうなっている?【NEXT特捜隊】


 円形状の道路を回るようにして走行する環状交差点(ラウンドアバウト)。2014年の改正道交法の施行で通行のルールが定められ、全国的に導入が相次いだ。10年近くがたち、現状はどうなっているのか。今回の「NEXT特捜隊」は、河北新報(仙台市)の特集記事を基に静岡県内や全国の状況を調べた。
住宅街にある環状交差点と標識。車は鉄塔を中心に時計回りに走行する=16日、菊川市柳

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「ひやり減った」/改良に費用 静岡県内

 静岡県道路企画課や県警交通規制課によると、静岡県内で環状交差点に指定されているのは計9カ所(3月末時点)。最多は浜松市の3カ所で焼津市が2カ所、静岡、菊川、富士宮の3市と小山町が各1カ所となっている。住宅街や駅前、田園地帯など立地場所はさまざまだ。
 菊川市柳の住宅街にある環状交差点は14年9月に指定を受けた。市建設課によると、以前から信号機のない円形の交差点で、1970年代に進めた区画整理事業で造られたとみられる。交差点の外径は25.5メートルで、鉄塔が真ん中に立っているのが特徴。規模が小さく交通量が少ないため、これまで大きな事故の報告はないという。
 約40年前から交差点の近隣に住む三浦安夫さん(75)は「事故はほとんど聞かない」と話す。「環状交差点に指定される前は逆走車もいて、狭い交差点内をすれ違うことがあったが、ルールが明確化されてどの車も時計回りに走るようになった。ひやりとすることが減った」と正式な指定を歓迎する。ただ、交差点内を周回する車が優先されることが「いまだに曖昧なドライバーはいる」とも指摘する。
 環状交差点を導入するメリットは▽通常の交差点に比べて車両が交錯する場所が大幅に少なく、交通事故の抑止につながる▽赤信号の待ち時間が減る▽災害時でも安全に通行できる-などが挙がる。県が整備した白糸の滝交差点(富士宮市上井出)は周辺の無電柱化工事も併せて実施し、世界遺産富士山の構成資産・白糸ノ滝周辺の景観向上につなげた。
 一方で既存の交差点を改良する場合は円形の道路を設置する分、必要な面積が広がるため用地買収に費用や時間がかかる場合もあるという。県道路企画課の担当者は「環状交差点は選択肢の一つ。今後も条件に適した場所で地域住民の理解が得られれば、導入を検討したい」と話している。
環状交差点の通行ルール

 全国150カ所指定、静岡県内は9カ所
 国際交通安全学会が公開している「日本のラウンドアバウトデータベース」によると、国内で環状交差点の指定を受けているのは約150カ所(22日閲覧時点)。都道府県別では宮城県が28カ所と最も多く、次いで愛知県が12カ所で続く。静岡県の9カ所は大阪府と並んで全国で4番目に当たっている。
静岡県内の導入状況(2023年3月末時点)
 環状交差点は、多くの道路が関係する多枝交差点のような複雑な形状でも導入できる。適しているとされるのは、1日当たりの総流入交通量が1万台未満の場所。これ以上になると、円形部分を走行する車両が多くなり、流入部付近の道路が混雑するなどの影響が出る可能性がある。

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(生活報道部・草茅出、伊藤さくら)

 

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