保護犬・猫の譲渡推進 静岡県が動物愛護センター基本計画策定

県動物愛護センター(仮称)の整備方針
県動物愛護センター(仮称)の整備方針

ドッグラン新設
 静岡県は2025年度中の開所を目指し、富士市大淵に整備する県動物愛護センター(仮称)の基本計画を策定した。「動物の命をつなぐための拠点」をコンセプトに掲げ、保護した犬や猫の収容機能を拡充して新たな飼い主への譲渡を推進する。ドッグランの新設も明記し、県民が利用しやすい施設につなげる。
 老朽化が進む県動物管理指導センター(浜松市西区)を、富士市大淵の障害者支援施設「県立富士見学園」跡地に移転する。富士見学園は民営化に伴い24年度に沼津市に移る予定で、学園の移転によって空いた施設を改修する。
 感染症のまん延防止や動物福祉に配慮した飼育室を整備し、飼い主のいない猫の不妊去勢手術も行う。新しい飼い主への譲渡を図ったり、動物愛護を通して命の大切さを伝えたりするスペースも設ける。屋外のドッグランは県民の交流の場として活用し、災害時には被災動物対策の拠点と位置づける。大型バスに対応した駐車場も備える。
 現在の動物管理指導センターは、狂犬病予防法上の犬の抑留施設として建設された経緯がある。譲渡に向けた収容機能が不足し、行き場を失った犬や猫の殺処分施設というイメージも強いことから、「新たな動物愛護の拠点として、県民が訪れやすく親しみやすい施設」へと転換を図る。動物愛護教育の推進やボランティアの活動支援といった役割も担う。
 県内では動物愛護に特化した行政施設は静岡市と浜松市にしかなく、県動物愛護センターが移転整備されれば県東部では初となる。県衛生課によると、県東部は犬や猫の引き取り頭数が多く、交通アクセスや地域バランス、周辺環境のほか、有識者の意見を踏まえて候補地を決めた。
 (政治部・森田憲吾)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞