熱海土石流の行政対応検証 静岡県内部で再調査へ 条例以外を対象

 熱海市伊豆山で起きた土石流災害を巡り、静岡県の行政対応について検証作業が不十分だとして県議会特別委員会が提言していた再検証作業について、静岡県は14日までに、第三者委員会で検証された部分を除いた法令対応などについて、県が独自に内部検証をする方針を固めた。川勝平太知事が県議会6月定例会で表明する見通し。同日までの関係者への取材で分かった。

静岡県庁
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 関係者によると、2023年内に検証作業を終えて検証結果を公表する予定。有識者による検証委員会は設置しない。ただ、内部検証後に、あらためて必要と判断された場合には第三者による検証を行う可能性もあるという。
 21年7月3日に発生した土石流災害では、起点となった逢初川源頭部の盛り土造成を巡って県や熱海市の対応の不手際が指摘され、県は同年12月に弁護士や学者などの第三者で組織する行政対応検証委員会を発足させた。同検証委員会は22年5月に「行政対応の失敗」などと県市の連携不足など対応に不備があったと結論付けたが、県の所管法令が十分に検証されていないとして、熱海市の斉藤栄市長らは不満を示していた。
 県議会特別委員会は22年10月から、検証の妥当性などについて関係者から聴取。23年2月に提出された報告書では、検証委員会の検証が県土採取等規制条例に基づく対応に絞られ、森林法や砂防法、土砂災害防止法などの観点での検証が不十分であると指摘した。検証委の検討期間の短さや運営などについて、公正性や中立性に疑義を示し、再検証を求めていた。
 川勝知事は23年3月の定例記者会見で、十分な検証が行われたとして再検証をしない方針を示したが、県議会の反発を受け、4月の会見で「実施可能性を含めて精査している。できる限り早い時期に県議会に答える」と修正していた。

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