下多賀の不法盛り土 期限内に撤去せず 熱海土石流の旧所有者

 熱海市伊豆山の大規模土石流で崩落した盛り土を含む土地を2011年まで所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社が、熱海市下多賀の保安林に造成した不法盛り土に関して、静岡県の復旧命令に従わず、県の設定した今年3月末の期限内に盛り土を撤去していないことが、1日までの関係者への取材で分かった。県は行政指導や行政処分を繰り返しているが業者側が応じないため、担当者が5月31日に同社の代表に直接会い、早期の履行を改めて要請した。
 この不法盛り土は森林法の盛り土規制区域「保安林」に造成された。県が17年1月に許可したが、許可範囲外にも土砂が搬入されていたため、同年4月には行政処分に当たる中止命令を出した。推定土砂量は3千~4千立方メートルとみられ、県は今年4月に不適切盛り土として公表している。
 県は22年1月、同法に基づいて盛り土の撤去を求める復旧命令を出した。同社は同年8月に復旧計画書を提出したが、県が計画の履行期限とした今年3月末までに土砂を撤去していないことが確認された。県はその後も履行を再三求めてきたが応じておらず、今後、行政代執行も視野に入れて詳細な現地調査を検討する。県森林保全課は「行政指導の内容はコメントできない」としている。

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