ゼレンスキー氏の参加歓迎 静岡のウクライナ避難者、期待と訴え G7広島サミット

 ウクライナ情勢をテーマに、同国のゼレンスキー大統領を交えて討議をした21日の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)。「国際社会の団結を」「平和を取り戻したい」-。祖国にいる家族の身を案じながら静岡県内で暮らすウクライナからの避難者らは、ゼレンスキー氏のG7サミット参加を歓迎し、各国の継続的な支援に期待を寄せた。

「戦争をしてはいけないとはっきり言うべき」。国際交流イベントでアクセサリーを販売し、来場者と交流するネジェリコ・マリーナさん(右)=21日午後、三島市
「戦争をしてはいけないとはっきり言うべき」。国際交流イベントでアクセサリーを販売し、来場者と交流するネジェリコ・マリーナさん(右)=21日午後、三島市
ゼレンスキー大統領訪日を伝える新聞を読むヴィーラさん(右)とマルハリタさん=21日午後、浜松市西区のオイスカ開発教育専門学校
ゼレンスキー大統領訪日を伝える新聞を読むヴィーラさん(右)とマルハリタさん=21日午後、浜松市西区のオイスカ開発教育専門学校
「戦争をしてはいけないとはっきり言うべき」。国際交流イベントでアクセサリーを販売し、来場者と交流するネジェリコ・マリーナさん(右)=21日午後、三島市
ゼレンスキー大統領訪日を伝える新聞を読むヴィーラさん(右)とマルハリタさん=21日午後、浜松市西区のオイスカ開発教育専門学校

 戦時下で大統領がG7に対面出席したことに、避難者らは一様に驚き、肯定的に受け止めた。ウクライナ南部ヘルソン州出身で掛川市在住の会社員トリティアコブ・マクシムさん(33)は「ゼレンスキー氏は各国首脳と直接対面し、ウクライナの現状をメッセージとしてしっかり伝えてくれたと思う」と、支援強化に期待を込める。
 娘の原アンナさんが住む三島市に避難し、県民と交流を続けるネジェリコ・マリーナさん(64)は平和で豊かだった祖国での生活に思いをはせた。「『戦争をしてはいけない、民間人を殺してはいけない』とはっきり言わないと駄目。世界全体が一緒になって抵抗しなければならない」と、ロシアへの毅然(きぜん)とした姿勢を各国に求めた。
 浜松市西区のオイスカ開発教育専門学校で日本語を学ぶマルハリタさんは父が志願兵として従軍中。疲労を募らせる家族の様子を電話越しに感じ取り、不安を抱いている。「(ロシアに比べて)ウクライナは小さい国。頑張っているけれど、国際社会の支援や団結がなければ国を守れない」と訴える。
 広島市の平和記念公園と原爆資料館を岸田文雄首相とともに訪れたゼレンスキー氏。平和と復興を願い、犠牲者を悼む原爆慰霊碑に献花した。ロシアのプーチン大統領が核兵器使用も辞さない発言をしている中、避難者の核廃絶への思いは強い。マルハリタさんとともに同校で日本語を学ぶヴィーラさんは「被爆地広島でのサミット開催はとても象徴的」と強調し、「広島と長崎は核兵器で多くの人が亡くなり、元の生活ができるまでに長い時間がかかった。核を減らすために世界中が努力してほしい」と願う。
 静岡県内のウクライナ避難者支援団体「希望のつばさ」によると、ロシア侵攻後、県内には43人が避難し、4月末時点で33人が居住する。同団体は、県内企業と連携し、言葉の壁などの課題を抱える避難者の就労希望に応えてきた。小野田全宏共同代表(76)は「家族や知人を案じ、不安の日々を過ごし、その苦しみは筆舌に尽くしがたい。今まで以上に県民にも世界平和とウクライナへの関心を高めてもらいたい」と話した。

 

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞