松崎町 移住定住促進【東部23年度予算案④】

 2月下旬、松崎町の木工工房「松崎工房」で古屋一成代表理事(50)が家具製作に取り組む職人や作家の作業を見守り、アドバイスをした。同工房は木工普及や職人育成のために施設を貸し出し、技術指導を行う。

家具の製作に取り組む木工作家を見守る古屋さん(左)=松崎町峰輪の松崎工房
家具の製作に取り組む木工作家を見守る古屋さん(左)=松崎町峰輪の松崎工房

 古屋さんは2017年に地域おこし協力隊として移住。同年、隊員の山賀健司さん(50)と工房を開設し、20年に法人化した。退任後も伊東市の拠点と行き来しながら職人育成や商品の受注生産を行い、近隣市町から集まる職人も増えてきた。古屋さんは「町のサポートで起業にこぎ着けた。伊豆地域に木工産業を根付かせたい」と見据える。
 都市地域から移住して過疎地域の活性化を図る地域おこし協力隊。同町は11年、県内で初めて隊員を採用した。これまで受け入れた23人のうち9人が定住し、3人が起業した。町は定住や産業振興に一定の効果を見込み、22年度からは隊員の枠を増やした。現在選定中で、ワーケーションの受け入れ体制を整備し、関係人口増加を進める業務に当たるという。
 同町は人口が県内最少の5960人(1月時点)で、人口減少対策は急務。23年度には420万円を計上し、民間とつくる組織に業務委託してウェブサイトでの情報発信や移住体験ツアーを企画していく。企業のサテライトオフィスや企業研修を誘致する体制整備も進めるため800万円を盛り込んだ。町は「移住者は別の自治体との取り合い。情報発信や受け入れ体制の強化が必要」とする。
 人口減少が進む賀茂地域では、移住促進の施策が実施される。東伊豆町は都市部の子育て世代流入増加を図るため、移住の体験期間に未就学児をこども園で預かる保育留学に550万円を充てた。下田市は企業のサテライトオフィスの整備費補助に150万円、ワーケーション情報発信に250万円をそれぞれ盛った。南伊豆町もサテライトオフィスの定着を進める。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞