時論(11月27日)登園管理の徹底で命を守れ

 幼い子どもが犠牲となる悲劇が、また起きてしまった。大阪府岸和田市で今月、父親が保育所に預けたと思い込んだ2歳の女児が車内に取り残され、熱中症で死亡した。
 無断欠席の場合、職員が電話で状況を確認するのがルールだったが、当日登園していないことを親に連絡していなかった。別の保護者対応が重なり、電話できなかったという。市の担当者は適切に対応していれば死を防げた可能性があったとの認識を示し、小倉将信こども政策担当相も「保育所が所在確認をしていれば命を救えた。保育所の責任は重い」と述べた。
 乗用車と送迎バスの違いはあるが、牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で女児が車内に置き去りにされ死亡した事件でも、女児は欠席連絡がないまま園にいない状態だったが、園側は保護者に連絡しなかった。
 車内に取り残さないことが第一であることは、いうまでもない。牧之原市の事件を受け、国は来年4月から幼稚園や保育所などの送迎バスについて安全装置設置を義務化し、費用補助も行う。
 同時に、万が一取り残されても園側が登園管理を確実に行えば、直後の救出が可能であり、セーフティーネットとして徹底する必要がある。命を守る最後のとりでと言えるのではないか。
 川崎幼稚園は保護者への連絡を徹底していた時期もあったが、連絡なく休む人や電話しても出ない保護者もいたため、徐々に電話確認がおろそかになっていったという。保育現場には「仕事が忙しいことも考えられるため、遠慮して保護者に電話をかけないケースもある」との声もあった。何を最優先すべきか。園と保護者のコミュニケーションの状況も問われている。
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