身近な素材、膨らむ空想 田中達也ミニチュアライフ展2

 静岡市清水区の清水文化会館マリナートで開かれているミニチュア写真家田中達也さん(40)=鹿児島県=の個展「ミニチュアライフ展2」。日用品や食品を風景の一部に見立てた作品は、見る人を物語のワンシーンのような情景へと誘う。本展では代表的な立体作品と写真計170点を展示する。会場を訪ねた田中さんに、遊び心が詰まった創作について語ってもらった。

約1万粒規模のコンサート(c)Tatsuya Tanaka
約1万粒規模のコンサート(c)Tatsuya Tanaka
この街には多くのチャンスが隠れている(c)Tatsuya Tanaka
この街には多くのチャンスが隠れている(c)Tatsuya Tanaka
約1万粒規模のコンサート(c)Tatsuya Tanaka
この街には多くのチャンスが隠れている(c)Tatsuya Tanaka

 見立て写真をインスタグラムで毎日発表するようになって12年目、作品は4500点近くになりました。日めくりカレンダーのように新作を見てもらうことは創作のモチベーションになっています。
 もともとミニチュア人形を集めていて、共感を得られる写真を撮りたくて見立ての手法を思いつきました。何を使っているか、どういう場面か、世界中の誰が見ても分かるように仕上げるのが自分の中のルールです。  素材を探すために、コンビニや百円均一ショップを巡ることが日課です。多くの人が使う一般的なデザインの商品を使ってこそ共感を得られるはず。またアトリエに10万体はある人形の棚を並べ替えることもアイデアを出すための作業です。物を見たり手を動かしたりすることが刺激になります。
 2人の息子と遊ぶ時間からも、たくさんのヒントをもらっています。身の回りにある物で何とか工夫する子どもたちは見立ての名人です。

ハブ ア ライス トリップ!(c)Tatsuya Tanaka

美の秘訣は適度な運動(c)Tatsuya Tanaka

永遠に溶けない雪だるま(c)Tatsuya Tanaka

 発表を休まないように、アイデアのストックは常に千個以上あります。すぐ作品にできるもの、ぴったりの素材がなくて寝かせてあるもの、完成はしたけど作り直したいもの。カレンダーにある記念日や行事、季節感などと照らし合わせて予定を組んでいます。
 各作品のタイトルはだじゃれのようでもありますが、素材に関する言葉と場面から想像する言葉を掛け合わせた「言葉の見立て」。会場では作品の撮影もできるので、ぜひカメラを向けて作品の世界へ入り込んでください。

回転ずしを高速道路とビル群に見立てた会場展示を前に、日々の創作について語る田中達也さん=静岡市清水区の清水文化会館マリナート

 ■会期 7月10日まで(月曜休館)
 ■会場 静岡市清水文化会館マリナートギャラリー(JR清水駅直結、静岡市清水区島崎町214)<電054(353)8885>
 ■開場時間 午前10時~午後5時(入場は4時半まで)
 ■入場料 中学生以上1200円、小学生700円。未就学児、障害者手帳提示者は無料。小学生以下だけの入場は不可

 主催 静岡新聞社・静岡放送、静岡市清水文化会館マリナート

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