世界かんがい遺産 寺谷(磐田)と香貫用水(沼津)候補に

 農林水産省は6日、国際かんがい排水委員会(ICID)日本国内委員会が「世界かんがい施設遺産」の候補に、磐田市の寺谷用水と沼津市の香貫用水の県内2施設を含む3施設を選んだと発表した。10月にオーストラリアで開かれるICID理事会で登録の可否が決まる。

寺谷用水の取水口跡付近=6日午後、磐田市寺谷
寺谷用水の取水口跡付近=6日午後、磐田市寺谷
「内膳堀」の愛称がある香貫用水。一部は現在、環境用水として活用されている=6日午後、沼津市本郷町
「内膳堀」の愛称がある香貫用水。一部は現在、環境用水として活用されている=6日午後、沼津市本郷町
「内膳堀」の愛称がある香貫用水。一部は現在、環境用水として活用されている=6日午後、沼津市本郷町
「内膳堀」の愛称がある香貫用水。一部は現在、環境用水として活用されている=6日午後、沼津市本郷町
寺谷用水の取水口跡付近=6日午後、磐田市寺谷
「内膳堀」の愛称がある香貫用水。一部は現在、環境用水として活用されている=6日午後、沼津市本郷町
「内膳堀」の愛称がある香貫用水。一部は現在、環境用水として活用されている=6日午後、沼津市本郷町

 寺谷用水は1590年に完成した全長12キロの水路。徳川家康の命令で家臣の伊奈忠次が企画し、平野重定が工事を指揮した。天竜川の水を引き込み、約2千ヘクタールの水田耕地を潤した。改修を経て今も市内の水田など約1500ヘクタールに水を供給している。
 堤防整備に合わせ、取水用の暗渠(あんきょ)を設ける手法は、利水と治水を一体的に行う革新的な技術として、江戸時代に多数のかんがい事業に活用された。申請した寺谷用水土地改良区の池田藤平理事長は「先人たちが守ってきた用水が世界で認められるための大きな関門を一つ突破した」と語った。
 香貫用水は1629年ごろ、地域の有力者とみられる植田内膳が建設し、「内膳堀」の愛称がある。狩野川に石の堰(せき)を築いて水位を高めて取水し、水路の地盤には炉灰を混ぜ合わせて水の染み込みを防ぐなど、当時としては先進的な工法で造られた。建設当時の延長は約5キロで同市香貫地区の農業発展の礎となった。
 現在は総延長19・85キロで、現役の農業用水や環境用水、排水路として使われている。頼重秀一市長は「大変喜ばしい。私財を投じて用水路を建設した内膳翁の功績を後世に語り継いでいきたい」とコメントした。
 世界かんがい施設遺産は、建設から100年以上経過し、歴史的価値の高い利水施設を登録する。県内では、深良用水(裾野市)と源兵衛川(三島市)が登録されている。

 

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