【「おとなの週末」6月号特集「ビールは旅。」】駿河湾フェリーで清水のビールと伊豆のビールを両方楽しむ。この発想はなかった

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は6月1日(奥付)発行の「おとなの週末」(講談社BECK)6月号を題材に。
(文=高度専門記者兼論説委員・橋爪充、写真=写真部・久保田竜平)

表紙にゴシックの縦文字で「ビールは旅。」とあって、黄金色の液体が入ったグラスがどんとある。細かい気泡がグラスの上から下まで行き渡っていて、この写真を撮る際のご苦労がうかがえる。

かなりぼやけているが、背後の風景は静岡市民ならピンとくる。海の向こうに見えるのは焼津市の大崩海岸ではないか。そうであるなら、撮影者がいる場所は恐らく静岡市駿河区の用宗。そうであるなら、このビールをつくったブリュワリーは…。味と香りのイメージが膨らむ。

「ビールは旅。」というコピーには、確かに力がある。ビールに導かれる旅。筆者にも経験がある。東京の出版社の編集者にとっては、静岡県はそれを実践する上で絶好の場所なのだろう。特集では北海道、広島、千葉、神奈川のビール旅も紹介されているが、静岡県は最多の6ページを割いていて、ちょっと誇らしくなる。

West Coast Brewing(静岡市駿河区用宗)の直営ホテルThe Villa & Barrel Loungeの宿泊記2ページからは、ビール漬けの休日をたたえる筆の勢いが楽しい。「ほろ酔いで宿を出るなんてはじめてだ。」というフレーズもある。筆者もここに泊まったことがあるが、車で現地入りしたため、朝方からのビールは差し控えざるを得なかった。公共交通機関で行くべきだったと、いまさらながら気付かされた。

「海、風、ビールと出会う旅」と題した4ページでは、静岡市清水区三保のGARCIA BREWINGを起点に、駿河湾フェリーに乗り、土肥港エリアから沼津に入るコースで、各地のビールを楽しんでいる。フェリーの売店でHORSEHEAD LABSの「蒲原ヘイジー」を購入し、船旅を堪能。伊豆半島に渡った後、伊豆長岡で一泊した上で、葛城山山頂で反射炉ビヤの「太郎左衛門」。公共交通機関をフル活用したこうしたコースは、車移動を前提としがちな静岡県民からは出てこないのではないか。

この記事の筆者は沼津港でベアードを飲み、沼津クラフトにも立ち寄っている。一泊二日としては、恐らくこれが限界だろう。沼津市内でもう一泊するのであれば、リパブリューやONE DROP、MASTERS BREWINGにも立ち寄れる。午後はティールズやf?teなど「三島勢」も射程圏だ。「おとなの週末」の編集部には、ぜひ「ビールは旅。」静岡編の第2弾を企画していただきたい。

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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