【用宗港でビールイベント】用宗発のクラフトビール醸造所「West Coast Brewing」。見逃してはならない「功績」とは

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は4月11、12両日に静岡市駿河区の用宗港西側屋根付き広場で開かれた「もちむねみなとビール祭り」を題材に。
(写真・文=論説委員・橋爪充)

静岡市駿河区用宗でクラフトビールを醸造するWest Coast Brewingが、用宗地区の開発を進めるCSA不動産(同市葵区)などと共催で行った、クラフトビールを中心にした飲食イベント。かつての荷さばき場を活用した広大な屋根付きスペースは、同醸造所の夏祭りの会場としても知られる。

4月12日の午後1時半頃に訪ねたところ、目分量で500人ほどの人がテーブルを囲んだり、車座になったりしていた。サザエやハマグリをあぶる香りが漂い、港の雰囲気を盛り上げる。

ビールの出店はWest Coast Brewing、AOI BREWINGの静岡市の2社に加え、FLORA FERMENTATION(滋賀県東近江市、奈良醸造(奈良市)、坂道ブルイング(東京都立川市)、Tokyo Aleworks(東京都板橋区)の4社。前日11日は気温上昇もあって爆発的な売り上げだったようで、関係者によると「2日分のビールを1日で売り切ったところもあった」という。醸造所の本社拠点に追加発注し、2日目に売るビールを急きょ取り寄せるなどして対応していたようだ。

AOI BREWINGの「葵トリコロール」は「漂泊の醸造家」阿久沢健志さんの屋号「一騎醸造」とのダブルネーム。モルトの甘みと苦みのバランスが印象的なアンバーラガーだった。West Coast Brewingの「Alive」はいかにも同社らしい味と香りのウエストコーストIPA。フルーティーなアロマと7%のアルコール度を感じさせない飲みやすさが特徴だ。Tokyo Aleworksの「歌舞伎町レッド」は新宿区歌舞伎町のネオンをイメージした、深い赤色のエール。「アイリッシュレッド」という、これまで飲んだことのないスタイルだったが、深めに焙煎したモルトの風味の中にどこか果実感を感じる複雑な味わいだった。

JR用宗駅から会場まで、徒歩で約15分かかる。ビールのイベントだから、参加者の相当数はこの道のりを歩いて来たことになる。筆者もその一人だ。West Coast Brewingがこの地でビール醸造を始めてからまもなく7年。もはや全国区の同社だが、自家用車による訪問がスタンダードだったこの地域を徒歩で訪ねる理由を生み出したことは、大きな功績ではないだろうか。

JR用宗駅には4月からテレビ放送が始まった、用宗を舞台にしたアニメ『レプリカだって、恋をする。』のパネルが設置されている



静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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