【映画「結局珈琲」の細井じゅん監督(浜松市出身)の舞台あいさつ】フレンドリーな喫茶店でつい、他の人の話が気になってしまう。映画の出発点は「喫茶店あるある」

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回はきょう5月2日に浜松市中央区のシネマイーラで行われた、映画『結局珈琲』の細井じゅん監督(浜松市出身)の舞台あいさつを題材に。同作は7日まで同館で上映中。
(文と写真=論説委員・橋爪充)

劇団「コンプソンズ」の俳優として活動する細井さん。映像作品にも多数出演し、2024年には監督・脚本・出演を務めた初の映画作品『立てば転ぶ』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024の観客賞に選ばれた。

『結局珈琲』は東京・下北沢に実在した喫茶店「こはぜ珈琲」が閉店、移転するまでの2カ月を描いたドラマ作品。細井さんは監督、脚本、出演の3役を務める。一人の時間を求めて同店を訪れる主人公青木(藤原さくらさん)が、常連客たちの他愛のない会話に耳を傾ける。

閉店までの数日を軽妙な会話劇で表現。テンポの良い言葉のやり取りを追っているうちに、自分も店の客のように感じられてくる。こはぜ珈琲を愛用していた磯村勇斗さん(沼津市出身)や柄本時生さんらが特別出演している。

上映終了後、舞台に登場した細井監督の言葉をお届けする。聞き手は同館の本多行彦社長。

-製作に至った経緯は。

こはぜ珈琲は実在するんですが、閉店、移転することになり、店長さんが旧店舗を雰囲気を含めて映像で残したいということで、僕にお話が来ました。以前の作品が、スーパーを舞台にしたワンシチュエーションだったので、調和性があるんじゃないかということで。

-55分間の映画ですね。

最初は20分ぐらいとみていたんですが、伸びに伸びて55分になりました。撮影は2日間。2日でこの尺(長さ)というのはなかなかないと思います。

-磯村勇斗さん、柄本時生さん、岡田義徳さんが出ていますが、キャスティングはどのように決まったのでしょうか。

磯村さんと時生さんはこはぜ珈琲の常連さんで実際によく通っていたということで、店長から「ちょっと出ていただけないか」と。岡田さんは、僕が仲のいい友達が親しくしているので、ダメ元で声をかけて。スケジュールが合わなかったんですが、「ちょい役だったらいいよ」と言ってくれたんです。本当に1時間ぐらいで撮影して、すぐ別の仕事に行かれて。贅沢な使い方をさせてもらいました。

映画「結局珈琲」の一場面


-藤原さくらさんが主役に決まったいきさつは。

(喫茶店の店員役の)日高七海さんが僕の前作にも出ていて、今作の出演も決まっていました。藤原さんは日高さんとラジオ(ポッドキャスト)をしてらっしゃったので、そのつてでお願いしました。こちらも本当にダメ元だったんですが、藤原さんのお芝居をずっと見てきて素晴らしいと思っていて、ぜひ主役にと。(聞き役が多い)せりふが少ない難しい役なので、これでも大丈夫ですかと言ったんですが引き受けてくれました。

映画「結局珈琲」の一場面


-撮影はどのように進みましたか。

初日に磯村さんの登場場面だったんですが、私服で来てくれて、ヘアメイクとか気にせず演技して帰って行った。こういう規模の映画に、みんなが知っている有名な方が気軽に出てくださるなんて、とてもカッコいいなと思いましたね。

映画「結局珈琲」の一場面


-僕が週に2,3回行く喫茶店があって、その風景と同じ物を感じました。舞台は下北沢ですが、とても身近に感じられました。

いわゆる個人経営の喫茶店の雰囲気で、下北沢っぽい映画になりましたが、全国を回ってみると意外に「何となくあの感じわかる」という反応が多いんですよね。その辺の普遍性はあるんだなと思いました。

-他の人の話が耳に入ってくることもありますね。

どうでもいい話をしたりとか、人の話につい聞き耳を立てちゃったりとか。ついには我慢できなくて、突っ込んじゃったりとか。映画の中にもありましたが、そういう場面ってフレンドリーな店ならよくある風景じゃないかと思うんです。あからさまに盗み聞きするわけではないけれど、つい気になって(人の話を)聞いてしまう。「喫茶店あるある」ですよね。この映画はそういうところからスタートしています。

映画「結局珈琲」の一場面


<DATA>※県内の上映館。5月2日時点
シネマイーラ(浜松市中央区、7日まで)

 

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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