【減少するショッピングセンター】地方と都市、生活スタイルの違いで求められる役割も異なる!都内で増える売上好調の小型施設など、最近のトレンドを紹介!

ネット通販の増加などを背景に、ショッピングセンターの減少や小型化が進んでいます。ショッピングセンターを取りまく状況について、消費経済ジャーナリスト、流通アナリストの渡辺広明さんに解説していただきました。聞き手はSBSアナウンサー青木隆太。

青木:本題に入る前に聞きたいのですが、ショッピングセンターと、ショッピングモールっていうのがありますよね。違うものだとは何となくわかりますが、何が違うという定義のようなものってあるんですか?

渡辺:流通業界でもかなりマニアックな質問になると思います。基本的には、両方とも複数の店舗が集まる商業施設ですよね。違いをあえて言うと、ショッピングセンターは屋外型で駐車場の前にいろいろなお店が並んでいます。一方、ショッピングモールは屋内型で、建物の中に店があるような感じです。またショッピングモールの方が、大型店舗が多いですね。

青木:そういうざっくりとした分け方があるんですね。最近はショッピングセンターが減っているということですが、具体的にどれくらい減っているんですか。

渡辺:ショッピングセンターとモールが混じった統計になってしまうかも知れませんが、まず開業数が減っています。2020年に3207施設あったのが2025年には3090施設になり、数が確実に減っています。

青木:この5年で100ぐらいは減っているということですね。どうして減っているんですか。

渡辺:人口減がみられ、さらに超高齢化をしていて、15歳から65歳までの働く世代である「生産年齢人口」は90年代後半から減っています。そのため、ショッピングセンターに限らずコンビニなども店舗数が減少傾向にあります。日本がシュリンクしていく状況であるというところですね。また、インターネット通販というものがありますよね。EC化率(インターネットで買う人の比率)が9.38%でこれも伸びていて、大体24.8兆円ぐらいになっています。

青木:そうなんですね。

渡辺:これはリアルの小売業が減るきっかけにもなりますよね。「ネットで買えばいい」ということになりますから。

青木:人口の減少に加えて、ネット通販の躍進がショッピングセンターに打撃を与えているんですね。


◾️リアルの店舗数は人口と比例

青木:都市部と地方で、減り方に違いはあるんですか。

渡辺:やはり、地方のほうが減り方が大きいと思います。なぜなら、人口動態でいうと地方のほうが減少が進んでいますよね。リアル小売業の店舗数は人口と比例するので、人口減が進んでいるところのほうがお店がなくなっていく状況にあります。

青木:逆に好調な小売業ってあるんですか?

渡辺:インターネット通販は好調ですよね。あとは、コンビニもドラッグストアもスーパーも、比較的売り上げはいいんですよ。物価高で価格が上がっていて、生活必需品は買わなきゃいけないので、売り上げはいいけれども実は客数が前年割れするといったところが多いんですよ。好調とも言えないですが、何をもって好調かというと、売り上げをもって好調というところが多いかもしれないです。

青木:なるほど。ショッピングセンター全体の売り上げは、上がってるんですか。

渡辺:ショッピングセンターの売り上げも、実は上がっているんです。

青木:えーっ。

渡辺:5年連続で上がっています。ただし、コロナ前の水準は上回りつつあるぐらいで、大きく超えているわけではないんですね。ショッピングモールの場合は、インバウンド需要があり、外国人の消費が寄与しているのと、実は、生活密着型の小さなショッピングセンターというのは結構堅調なんですよ。

大都市圏だと、イオンモールやららぽーとのようなショッピングモールは車で行く場所ですよね。でも、例えば東京だとそんな大きな店は建てられないので、街中に小さなショッピングセンターのようなものが結構できているんですね。

青木:そうなんですね。

渡辺:そこが比較的堅調に推移しているという形かなと思います。ですから、施設は減っているものの、残る施設の売り上げは当然伸びています。今のように二極化しているんですが残存メリットもあり、生活に密着したものを売る都会型の小さなショッピングセンターは好調です。

イオンモールみたいなショッピングモールは、非日常の買い物に行くところですが、都会にあるのは日常なんですよね。スーパーやユニクロ、100円ショップが入っていたりして、日常のものを買える比較的小さなショッピングセンターが好調であるということです。

青木:地方と都市でショッピングセンターやモールの持つ役割が変わってきてるような感じですね。

渡辺:そうですね。地方はやっぱり車社会ですが、都市は車社会ではないですからね。そもそも生活スタイルが違うことが大きいんじゃないかなと思います。

◾️他と同じじゃない!差別化された「非日常」

青木:新規開業という点で話すと、9月に東京にニュウマン高輪が開業して、こちらが注目されているということです。

渡辺:ここはどちらかというと「非日常」の買い物をするところですよね。当然、オフィスに勤めている方も買うと思います。おしゃれな飲食店や、ちょっと高級なショップなどが入っていて、今あるショッピングモールや小さな都市型のショッピングセンターとはまた違った、新しい施設みたいな感じですよね。

ショッピングセンターやショッピングモールは、どこも店舗のラインナップとしてはある程度似てしまうため、「同一化しない」ことが大事です。都市型の施設はどれとも似てないものを作ろうとして、努力しているんですね。

青木:なるほど。

渡辺:「そこにしか出ていない」「新業態初」のようにうたった店舗を入れていますよね。

青木:そういう武器も必要になってくるんですね。

◾️アピタ静岡店の後は、どうなる⁉︎!

青木:SBSの近くにはアピタ静岡店というショッピングモールがありました。この春に一度閉めて来年の春にイオンが開業します。以前ショッピングセンターがあった跡地に新しくショッピングセンターができるっていうのは、なんか不思議だなと思うんですが、よくあることですか?

渡辺:イオンモールは何といっても日本一のショッピングモールなので、ノウハウが一番進んでますよね。なのでイオンのスーパーを中心に今の時代に合った出店を変えていくんじゃないでしょうか。時代に合わせながら新しい形に変わるので、アピタと違ったような様相になるのではないかなと思いますね。もちろん、同じ店もあるとは思いますが。

青木:アピタの周りは、そんなにスーパーが多くないような印象もあるんですよね。ですから、あの辺りの地元密着っていうところにコミットしていくのかもしれませんね。渡辺さんありがとうございました。

SBSラジオIPPO(月~金曜:朝7:00~9:00)忙しい朝を迎えているアナタに最新ニュースはもちろん、今さら人には聞けない情報をコンパクトに紹介!今日の自分をちょっとだけアップデート!番組公式サイトX(旧Twitter)もぜひチェックを!
radikoでSBSラジオを聴く>

関連タグ

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1