日本初の定時放送アニメ番組は『インスタントヒストリー』(1961年)。でもその前に、正体不明の伝説的な番組『漫画ニュース』が存在していた!?

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は「今日は何の日?を扱ったアニメ」についてお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん

「今日は何の日?」と、国産アニメのはじまり

このコーナー(「藤津亮太のアニメラボ」)の内容を決めるとき、いつもヒントにならないかと「今日は何の日か」を検索するんです。でも、今日はうまくアニメに繋がる話題がなかったので、「今日は何の日か?」それをテーマにしたアニメをご紹介しましょう。

1980年から84年にかけて『キリンあしたのカレンダー』という番組がありました。これは翌日の歴史上の出来事や生まれた人物、起こった事件のエピソードを、簡単なアニメで紹介する1分番組です。

このアニメは、1961年から帯番組として毎日放送されていた3分枠の番組『インスタントヒストリー』の流れを組む番組です。『インスタントヒストリー』は、歴史上の人物や出来事をアニメで紹介していくというものです。タイトルを変えながら64年まで続き、これが「今日はどんな日ですか」をテーマにした最初のアニメであり、定時放送された最初のアニメ番組とされています。

でも実はその前、1957年から59年にかけて『漫画ニュース』というミニ番組が放送されていました。これは、その日の出来事などを簡単な映像にして見せるミニ番組で、漫画家・横山隆一さんが仲間に声をかけ、やなせたかしさんらが中心となって制作されました。

ただし映像が残っていないんです。そのため、『漫画ニュース』がアニメだったかどうかは議論が分かれています。証言や雑誌記事によれば、原始的な初期の切り絵アニメを用いていたとか、カタカタとぎこちなく動く程度だったとのこと。

また、当時同じスタッフが制作した類似の別番組がありました(ネットに『漫画ニュース』という名前入りでアップされている動画はこちら)。僕も研究者の方から見せてもらったことがありますが、こちらは最低限の動きだけで、実写も混ざっていて、紙芝居に近いものに一部、動きがついている感じでした。

なので『漫画ニュース』も同じような感じだったのではないでしょうか。もし今後『漫画ニュース』の映像が発見され、その内容が「アニメ」と認められれば、国内定時放送アニメの歴史は1961年ではなく、57年にまでさかのぼることになります。

まとめると、1961年に日本初の定時放送アニメ番組として『インスタントヒストリー』があり、でもその前に、正体不明の伝説的な番組『漫画ニュース』が存在していたということです。

ちなみに、テレビ画面にアニメが初めて映ったのは1953年。民放テレビ放送が始まった瞬間、日本テレビが流したセイコーの時報CMで、これは番組ではありませんが「最初にテレビに映ったアニメ」ですね。

SBSラジオTOROアニメーション総研(毎週月曜日19:00~20:30 生放送・毎週日曜日15:00~16:30 再放送)全国のアニメ好きが集まるラジオの社交場。ニッポンのアニメ文化・経済をキュレーションするラジオ番組。番組公式X(旧Twitter) もぜひチェックを!

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