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『マジンガーZ』や『デビルマン』は永井豪の原作だけど、漫画が原作なわけではない⁉️ アニメと原作漫画の複雑な関係

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は「漫画とアニメの複雑な関係」についてお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん

原作漫画とアニメはどこまで同じ? 複雑な関係を解説

例えば『マジンガーZ』と『デビルマン』は両方とも永井豪先生の原作だと言われていますが、漫画そのものが原作かというとちょっと違うんです。永井先生が描いた漫画をもとに、アニメが作られたかというとそうではないんです。

どちらも企画の発端は、東映動画(現東映アニメーション)のプロデューサーが、永井先生に何か番組の企画のアイデアを相談したことから始まります。そこで一緒に企画を決めて、基本設定やお話のフォーマットを作りました。そこから永井先生側は『少年マガジン』、『少年ジャンプ』の編集部に相談をして、自分は自分で漫画の連載をスタートさせます。一方、アニメ側は最初に打ち合わせで永井先生が発案した設定をつかって、こちらはこちらでアニメを制作しますね、という形で成立したんです。

なので、基本的なアイデアを出した永井先生が原作者であるのは間違いないですが、漫画が原作なのかというとちょっと難しいところがわけです。むしろ、永井豪という作家をハブにした原始的なメディアミックスと捉えるのが実態に近いかなと思います。

1970〜90年代半ば過ぎくらいまで漫画とアニメの関係ではテレビ局が主導権を握っている作品が多く、人気漫画をピックアップして、これで視聴率がとれる番組を作ろうという考え方がありました。そのため視聴率を意識し、家族で見られるようにアレンジするなどバランスをとってテレビ番組としてのゴールを目指すといった感じです。

一方、深夜アニメの時代に入り、いろいろな作品が作られるようになりました。コミックスの部数はメジャーな週刊少年誌の作品ほどは多くないけれど、マニアックな強烈なファンがいるから作りましょうとアニメ化が決まるわけです。かつてのアニメ化と今のアニメ化では、その発想がそもそも違うんです。

また漫画のアニメ化には、タイミングというものがあります。盛り上がっているから、ここでもう一跳ねさせたい!というところでアニメが企画されたりします。でも、そのときは作品は連載中です。ラストもどうなるかわからない。とはいえ、テレビ番組として完結しないで中途半端なところで終わると、番組としてあまりに不完全燃焼になってしまう。ちゃんとお話としてまとまっていなければDVDの売上だって影響するだろう。そこで基本的には原作ベースで進行するものの、最後はオリジナルでまとめるというケースもありました。2000年代前半ぐらいまでは、そういう判断をする場合が多かったです。

これが2010年代に入るあたりから、原作に揃える合わせる度合いがどんどん上がっていきました。区切りをつけるにしても、原作の区切りのいいところで付けるようにして、最低限のまとまりはつけるけれど、お話そのものを完結させるわけじゃない。海外ドラマに触れる人が一定数を超えて、シーズン制に慣れた影響もあるんじゃないかと思います。

もちろん人気作であれば原作の完結までアニメ化したいということになるわけですが、これはこれで大変です。もちろんすでに完結している漫画をアニメ化するのであれば、ラストまで見えているので最初からペースをコントロールできますが、連載中の人気漫画に最終回を合わせるのは至難の業です。

かなり初期にこれをやったのが『ハチミツとクローバー』です。『ハチミツとクローバー2』最終回は、Aパート前半まで絵コンテが終わっている状態で漫画の最終回のネームを待ったようです。それを受け取って制作して放送すると、原作の最終回掲載のタイミングとちょうど合うだろうという調整をしたわけです。

ちなみに僕が個人的に好きなのは『銀魂』です。『銀魂』自体が、作中で「迂回ルートに入る」といって、アニメが漫画に追いついてしまった場合の回避策をいろいろネタにした回がありましたが、『銀魂』のアニメそのものが原作が終わりそうで終わらないことに振り回された作品なんです。

実際、原作の終わりを見越した最後のテレビシリーズでも、原作が終わらなかったため最終回のラストは原作の途中までで終わり、そこから銀さんが「ここで終わり、これから先どうなるか分からない」「今までも何回も原作がこの辺りで終わるからとアニメ化を組んできたのにそんなことはなく、こぼしてきたギャグ回を集めてやったり大変だった」というような楽屋裏を話し始めるという展開でした。

聞いた噂では、これは今回のTVシリーズでも最終回が描けないと決まったときの、スタッフの反応をそのままセリフにしたとかしないとか。そのあたりもアニメ『銀魂』らしいところです。

その後、劇場版でちゃんと原作ラストのエピソードまでアニメ化しましたが、アニメと漫画の関係は、ことほどさようにいろいろ大変なんです。

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