
横浜美術館で開催中の「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」の公式図録「作り方を作る」(写真部・久保田竜平)
「ポリンキー」「バザールでござーる」「カローラⅡ」「モルツ」など、1980年代、90年代に数々の名CMを手がけた佐藤雅彦さん。2000年代以降は慶応大、東京芸術大大学院で教える傍ら、「ピタゴラスイッチ」などの映像コンテンツを次々世に送り出した。静岡県出身の佐藤さんだが、これまで静岡新聞は本格的な取材記事を掲載したことがなかった。横浜美術館で6月28日に開幕した「佐藤雅彦展」が契機となって、初のインタビューが実現したのは、タイミングが良かったこともあっただろうが、何よりこの展覧会が佐藤さんが構想するミュージアムの、いわば「プロトタイプ」として位置づけられたことが大きい。
横浜美術館の展示風景。代表作の「計算の庭」(横浜美術館提供/撮影・加藤健)
ミュージアムは過疎化が進む戸田にとって、大きなインパクトのある事業となるだろう。インタビューは戸田の宿泊施設兼カフェの「タゴールハーバーホステル」で実施したが、その場に居合わせた地元住民に施設計画について話を聞いてみた。

ミュージアムの建設予定地(東部総局・田中秀樹)
筒井進さんは佐藤さんの小中学校の同級生。「彼は(戸田港近くの)実家に帰ってくるたびに、海を眺めていた。彼の小説『砂浜』にも戸田で過ごした幼少期の描写が出てくる。ありがたいと思っていた」と振り返った。「戸田の活性化策としてミュージアムをつくると聞いて、とてもうれしい。地元の同級生としても協力したい」と話した。戸田の水産会社の関係者である長島美樹さんは、海水浴場や深海魚、重要文化財「松城家住宅」、ロシア軍艦の沈没と代船「ヘダ号」建造にまつわる逸話などを挙げ、「戸田には魅力的なスポットがたくさんある。そうしたものとうまくつながって、戸田を楽しんでくれる人が増えたらいい」と期待を込めた。
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■横浜美術館リニューアルオープン記念展「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
開館:午前10時~午後6時(木曜休館)
料金:一般2000円、大学生1600円、中学・高校生1000円、小学生無料、障害者手帳などの所持者と介護者1人無料
会期:11月3日(月・祝)まで
横浜美術館の展示風景(横浜美術館提供/撮影・加藤健)